【６４】 ページ15
ガーネットの様な深い赤の瞳に触れる様に手を伸ばせば、漸く俺の姿を捉えたのか、みるみる内に目を丸くする金髪女に胸を撫で下ろす。
「笑え」
たった一言。金髪女の目元を軽く親指の腹で一撫でし、告げた言葉に彼奴は泣くのを我慢する様に唇を噛み締め、切なげに眉を寄せた。
「爆豪、君……」
次第に膜を張り始めた目から涙を流す金髪女は頬にある俺の手に同じものを重ね、肩を震わせながら泣く。鼻を啜る音としゃくり上げる様な息遣いを繰り返し、そのまま俺の胸板に軽く頭を預けて来た金髪女に何も言わずに好きにさせる。
泣くなと声を掛ける事も出来無い。安心させる様な優しい言葉なんてものを吐ける様な性分でも無い。俺の口から出る言葉なんざ、精々「うぜぇ……」「泣きやめや、クソ」と棘のある言葉になってしまう。
此奴の泣く姿は夢と重なるせいか、酷く胸が抉られる。その痛みを誤魔化す様にそのまま金髪女を抱き締め様と腕を回した時……
「……ブス過ぎんだろ」
「酷いな……笑えって、言うから笑ったのに」
「鼻水どうにかしろや」
「チーンしてほしいな」
「キメェ……」
涙でぐしょぐしょになった顔を上げ、下手くそでクソ不細工な笑みを浮かべる金髪女に呆れから、気が抜けていくのが自分でも分かった。
ｽﾞｽﾞｯ!!と鼻を啜る此奴に「女捨ててんなよ」と鞄からポケットティッシュを取り出し、顔面に押し付ければ「うぅ、痛い……痛いです」と唸りながら自分で鼻をかみ始める。
「……ふぅ、要る？」
「ンな汚ぇもん要るかっ！！」
「汚くないよ？透明な鼻水だったよ？？」
「聞きたかねぇわ！！」
昇降口に設置されているゴミ箱に使用済みのそれを捨てた彼奴は「やっぱり、爆豪君は優しいな」と嬉しそうにいつもの様に笑う。
言っている事は意味不明だが、それでも金髪女の笑った顔に安堵し、穏やかな気持ちになった事は俺の気の所為だと思う事にした。
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パル(プロフ) - 一寸先はダークさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!凄いだなんてとんでもないです (汗)はい！頑張ります！今後ともよろしくお願い致します！！有難う御座いました！ (2020年3月24日 13時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - 何か、凄いですね！個性が何か分からんなぁ、何となく推測はして多分こうじゃないかな？みたいな所まではいったんですけど、まだまだ分かりませんね！これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 94fd455da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年3月17日 8時
