【６３】 ページ14
俺は現在、学校の昇降口で苛立ちをこれっぽっちも隠さず、手にあるメッセージカードを無言で爆破している。
先にこれだけは言っておく。俺は断じて金髪女を待っていた訳じゃねぇ。いや、ある意味待っていたのだろうが、用があるのは彼奴にでは無く、彼奴がいつの間にか抜き取ってやがった電車の定期券だ。
一度は駅まで行った俺は定期入れを改札機に翳そうとした際、柄の違う中身に違和感を覚え、それを確認すると、定期入れの中には以前彼奴が残したメッセージカードが突っ込まれており「置いて行かないで〜ByA」と書かれていたのだ。
思わずその場で「ふざけんなよ……あのカスｯ!!」と叫んだ事は言うまでも無いだろう。成り行きで駅まで行動を共にしていたクソ髪やアホ面、しょうゆ顔の三人にｹﾞﾗｹﾞﾗと笑われ、取り敢えずアホ面を殴れば「何で俺だけ！？」と喚いていたが、知るかである。
何が待っていてくれると嬉しいな、だ。こんなもん強制じゃねぇか！！と苛立ちながら金髪女が来るのを待っていると、通路の先に彼奴の姿が見え始め、一発殴ってやろうと近付いた時、彼奴は遠目でも分かる程に憤っていた。
目付きが悪いなんてものじゃない。怒りに触発された様に赤くギラつく眼に柄にも無く臆し、足を止めてしまう。普段のﾍﾗﾍﾗと馬鹿みたいに笑っている姿など、全く垣間見る事も出来無い程の怒り。
憤るあまり俺が見えていないのか、真正面に居た俺を素通りする金髪女に「おい」と肩を掴もうと手を伸ばした瞬間───…
「しつこいなぁ!!」
振り向き様に響く乾いた音。叩き払われた俺の手には痛みが走り、鋭く睨み付ける赤い眼光に言葉を失う。珍しく声を荒らげた金髪女に「何すんだｯ!!」といつもの様にキレる事も出来ず、怒りに染まるその目があまりにも痛々しく見えた。
職場体験について話をしていた筈の此奴に一体何を言えばこんな風に怒りで我を失う程に憤るのか。此奴が散々追い掛け回していた俺すらその目に映せなくなる程の怒りは何に対してなのか。
頭に過ぎるそれ等を無視し、今はただ……此奴にこんな顔をさせている事が何よりも耐え難いと僅かに胸が痛みを主張する。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - 一寸先はダークさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!凄いだなんてとんでもないです (汗)はい！頑張ります！今後ともよろしくお願い致します！！有難う御座いました！ (2020年3月24日 13時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - 何か、凄いですね！個性が何か分からんなぁ、何となく推測はして多分こうじゃないかな？みたいな所まではいったんですけど、まだまだ分かりませんね！これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 94fd455da1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2020年3月17日 8時
