【９】 ページ10
携帯を一瞬で消し去った事、気取られる事も無く俺の携帯を抜き取っていた事。そして、追い抜いた際に見せた焦る様子も無く、緩み切ったふざけた笑み。極めつけは女が告げたあの言葉。
個性を使えば俺が不利になる。それは即ち、この半ば強制的に始まった競争に個性使用有りというルールが追加されたという事で、あの女が何らかの個性を発動出来るという事。
もし仮に、仮にだ。あの女の個性が瞬間移動の類の個性だったなら……この勝負はあの女の言う通り、俺が個性を使用した時点で敗北が決定した様なものだ。
急いで学校の正門を抜け、廊下を走るな！と喚くクソメガネを無視し、教室の扉を勢い良くﾊﾞﾝｯ!!と開ければ……女は何食わぬ顔で俺の席に座り、既に携帯を机の上に置いてスタンバっていた。
女は俺に気付くと直ぐに携帯を持って駆け寄り「爆豪君、連絡先交換しよう？」とｷﾗｷﾗと期待に満ちたガキみてぇな目を向けて来やがる。
「断るｯ!!」
「うぅ、頑張ったのにな……残念。でも、これから毎日チャレンジします」
「はあ！？」
「よろしくね、爆豪君」
肩を竦ませ、楽しみだと言う様に緩くはにかむ女に何が何だか分かっていないクラス連中は「何だ……？今の」「さあ……？」と自分の席へと戻って行く女に事の詳細を聞きに集まり出す。
あのクソ女のせいで朝っぱらから疲労する事になってしまったが、今日のヒーロー基礎学を思えばそんな事は些事だ、些事。
騒ぐクラス連中を余所に自分の席に着くと、何やら机の中には手のひらサイズの便箋があり、眉を顰めつつもそれを開封すれば、中にはメッセージカードが入っていて……
『個性使った事は先生には内緒だよ？怒られるかも知れないから。By.A』
そう丸っこい字で書かれたそれを問答無用で爆破する。マジであの女、人を舐め腐りやがって……何か？俺が到着するまでにメッセージカードを書くなんざ朝飯前ってか？？ぶっ殺すぞ、コラ。
ｷﾞﾛｯと振り向き様にクラス連中の輪の中に居る女を睨めば、女は直ぐに気付き、目を丸くすると直ぐにふにゃりと笑い小さく手を振ってくる始末。
マジで頭ん中に花畑でも湧いてんじゃねぇか。と思いながら返す様に中指を立てて、前を向いたのだった。
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パル(プロフ) - kryscさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!二週目を読んで下さって、こうしてｺﾒﾝﾄも添えて頂けて本当に物凄く励みになりますので是非是非何度でもｺﾒﾝﾄして下さい！私もとても気に入っているシーンでもあるのでそう言って頂けて本当に嬉しく思います！それでは良いお年を！ (2020年12月31日 6時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
krysc(プロフ) - 何度もコメント失礼します、、今二週目読んでいるのですが、一緒に帰るって言ってみんなに見守れながら爆豪に追いかけられるシーンが好きでたまに思い出してにやにやしてしまいます、、 (2020年12月31日 3時) (レス) id: e2aa7d2302 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年2月2日 19時
