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キツく目を閉じて、どうにかこの震えを抑え込もうとした時、隣で寄り添ってくれていた彼が私を抱き締め、落ち着かせる様に「A、僕の事分かる…？」と軽く背を擦ってくれた。
彼の言葉にゆっくりと瞼を開き、そこにある彼の優しい顔を見た時、先程まで震えていた身体は嘘の様に落ち着きを取り戻していて、そんな私に彼は「僕が傍に居るから大丈夫。君を一人になんてしないから」と微笑む。
「……ごめんなさい」
「もう大丈夫…？」
静かに頷き、父を見ると父は罪悪感に苛まれているのか、苦しそうに眉を寄せ「すまない…」と再び頭を下げた。
「…どうして、話したんですか」
静かに問い掛けると父はゆっくりと顔を上げて「断片的に…思い出し始めていたんだ」と告げる。
「え…？」
「本人は夢だと思っていたらしい。だが、戸籍表を取りに行った時にお前の存在を知った母さんは俺に詰め寄ってきたんだ。Aは何処に居るの？って…」
「っ……」
「あれから7年…お前が掛けた個性が効力を失っていても可笑しくは無いと思って、全部話した。いや…話すしかなかったんだ」
誰かも分からない子供に虐待をする自分や子供を殺め様と躍起になっている自分を思い出す度、あの人は自分が怖くて堪らなくなっていたらしい。その内、愛する息子をこの手に掛けてしまうのでは無いかと自身に怯える様になってしまった様だ。
「けっ…自業自得だろ」
「おい、爆豪！」
「テメェ等だけが幸せで、テメェ等が植え付けてきたもんが此奴を散々苦しめたってンのに、自分の行いに今更ビビってんじゃねぇーぞ」
「かっちゃん…」
「テメェにしてもそうだ。あん時、テメェの幸せの為に此奴を踏み台にした癖によ…さっきからすまないすまないって、ナメとんのか」
爆豪君の言葉は私が心の奥底で表に出さない様に必死に押し殺していた醜い感情を代弁していた。爆豪君の言う通り、今更だ。何もかも…今更過ぎる。
私だけがあんな目に遭って、あの子にはそれをしてしまうかも知れないと怯えて…そんなの、あんまりだ。怯えるくらいなら…あんな事しなければ良かったのに、と声に出してしまいたくなる。
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作者名：パル | 作成日時：2019年9月7日 15時
