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楽しみだなっ！と白い歯を見せて笑う切島君は「白無垢とウェディングドレス、無音だったらどっちが良いんだ？」とか「式には絶対行くからな！」と、まだ先の事なのに物凄く楽しみにしてくれていて……こんなにも私と彼の事を祝福してくれる友人に改めて感謝するのだった。
そして、日が暮れ始めた頃、私と爆豪君は医療ドラマのワンシーンの様に両手を上げ「始めるぞ」「よろしくお願いします」と蕎麦作りを開始する。
「思ったより簡単そうに見えるけど…」
「テメェ、蕎麦ナメてんじゃねぇーぞ。ツルっとしつつもザラッとした舌ざわり、しっかりしているが適度なコシがねぇと駄目だ。何より口の中をサッパリさせる清涼感がねぇと蕎麦とは言えねぇ」
「………」
昔、彼から轟君が無類の蕎麦好きだと聞いた事はあったが、まさか爆豪君もその類の人だったのだろうか。蕎麦に七味をこれでもかと言う程掛ける…いや、あれは乗せると言った方が正しいのかも知れない。七味で蕎麦が見えなくなっていた事だけは覚えている。
「………」
「ンだよ」
「本格派だね」
「やるからには半端なもん作る訳ねぇだろうが」
「良いお嫁さんになるよ」
「テメェ…ぶっ殺すぞ」
爆豪君監修の下蕎麦作りが開始され、小姑の様に一々指摘してくる爆豪に「引子さんが爆豪君みたいじゃなくて良かった…」と零す。
そんな私にカウンターから眺めていた切島君は「花嫁修業みてぇだな！」と笑っていて、花嫁修業だと思えば、爆豪君のお小言…基、指摘も我慢出来る気がする。
「ポロポロ過ぎない…？もっと水足した方が良い」
「足すんじゃねぇ!!これを捏ねて塊にすんだよ」
「固まる気がしないんだけど…」
「無駄口叩いてねぇでさっさと手ぇ動かせや」
「………」
粉塗れになりながら生地を捏ね、何とか塊になり、それを丸棒で薄く薄く伸ばして行く。爆豪君が打ち粉を何度も掛けてくるのに「掛け過ぎじゃない…？」と言えば、打ち粉は多い方が良いらしいとの事だった。
生地を出来るだけ四角に伸ばそうとするけれど、素人が四角に出来る筈も無く…
「下手くそ」
「…切れば一緒だよ」
「マジで大雑把なとこ、デクと一緒じゃねぇか」
「はぁ…彼に会いたい」
「聞けや！！」
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作者名：パル | 作成日時：2019年9月7日 15時
