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家の大掃除を爆豪君と切島君に手伝ってもらいながら部屋の隅々まで終わらせた大晦日。彼は仕事で今は居ないが、今日は早めに帰って来てくれる予定なので、人生初の手打ち蕎麦に挑戦しようと思う。
現在、リビングで我が物顔で寛いでいる爆豪君とソファーでだらけている切島君に「夜は手打ち蕎麦にする」と伝えれば、爆豪君は興味を持ったのか「粉から打つんか？」とキッチンへやって来る。
「うん。初の試み」
「……食えんのかよ」
「身体に害は無いよ」
「そういう意味じゃねぇ」
「動画見ながらやるつもり。優秀な助手も居てくれる訳だし…」
「手伝わせる気満々か」
「文句言わないなら一人で作るけど…」
「年越しにマズメシとかねぇーわ」
「じゃあよろしくね」
日本で新年を迎えるのは随分と久し振りだ。渡米していた時は向こうの文化に沿って年越しを迎えていたからか、何だか年越し蕎麦を準備するのが新鮮だと思う。
買い物は既に優秀な荷物持ちが二人も居てくれたお陰で、今日の分とお正月の分は問題無く確保出来ている。今から蕎麦を作り出すには早過ぎる為、どうしたものかと考えていると唐突にソファーでだらけていた切島君が勢い良く起き上がり…
「そういやさ！！お前等、婚約はしてたんだよな？」
と聞いてくる。いきなりどうしたのだろうと頭に疑問符を浮かべながら「そうだけど…」と答えると、切島君はカウンターに寄り掛かりながら「プロポーズされてんだよな？」と改めて確認してくる。
「多分…？」
「多分って何だよ」
「いや…結婚しようって言われた訳じゃなくて、彼の姓を名乗ってほしいとか、家族になりたいとか、そんな感じだから…正式なプロポーズはまだかも知れない」
婚約はしているがプロポーズをされたのかと聞かれると正直、微妙な所だと思う。会話の流れで将来について話す事はあれど、現状を考えると“いつか”の話になるのだ。
だけど、彼が父に挨拶に行くと告げた時、改めて“いつか”に現実味を帯びた様な気がするのも確かだ。
あの人と会う。私の中で覚悟と呼べる程の意志は固めているつもりだ。あの人が私と向き合おうとしている様に、私もあの人と向き合わなければならない。向き合って初めて、過去は過去なのだと胸を張って言えるのだと思う。
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作者名：パル | 作成日時：2019年9月7日 15時
