【ヒロアカ】Continue to love 3 (ページ31)

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数回コールが鳴り響いた後、変わらない明るい声で『お！無音、どうした？』と聞いてくる切島君に軽く此方の状況を伝えると──

『そういう事なら会場の方は大丈夫だぜ！イブって事で手が空いたヒーローが結構応援来てるし、もう直ぐ爆豪も合流するって連絡あった』
「頼もしいよ」
『それよか、お前は安全な場所に居るんだよな？』
「うん。私が現場に行っても足を引っ張るだけだからね」
『なら良いんだけどよ、一応気を付けろよ？情報特務課は標的にされやすくなってっからさ』
「有難う。爆豪君にもよろしく伝えておいて」
『おう！！』

電話を切った後、直ぐに車へと戻れば、私が車から離れた僅か数分で現場の状況は一変していた。優勢だった筈の此方側が逆に劣勢になっていたのだ。

「社長、状況の説明を」
「広範囲の個性攻撃としか此方も把握出来て無い。山田補佐の調べにあった音響系の個性を持った敵(ヴィラン)の仕業だろうが、被害が此方にしか無いのは不可解だ」
「遠山君」
「多分っすけど、いざとなった時の手段を予め用意してたんじゃないっすかね……音響なら耳栓の類いで防げますし」

音響で怯んだ所を襲われたら堪ったものでは無い。そうなってしまえば、此方の被害が甚大になってしまう。

「社長、会場警備のD班を至急現場へお願いします。会場の方はヒーローが集まりつつあるので問題ありません」
「分かった」

時計を確認し、花火大会が終わるまでの時間から逆算して残された作戦時間を叩き出す。無力化出来れば捕獲までそう時間は掛からない。だが、敵(ヴィラン)側もそう易々と大人しくするとは思えない。

少なく見積もっても20分は掛かるだろう。そうなれば民間人へ被害が及ぶかも知れない。

「…社長、デクは動けますか」

本当はこんな事させたくない。本当ならこんな指示は出したくない。だけど、此方が打てる最速且つ最大の手は…現状、これしか無い。

社長や山田君、遠山君が私の意を察し「…良いんだな？」と真意を図る様に確認する。

「その代わり、彼が抜けた穴を他のヒーローで全力で補ってもらいます」
「分かった。では、デクへの指示は無音情報特務課長に任せる」
「はい」

私は…最低な恋人なのかも知れない。現状を打破する為とは言え、一番危険が伴う指示を愛おしい人へと出そうというのだから。