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「仕事とは別に少し話さないか？君達の事について事務所としてある程度は知っておこうと思うのだが…」
そう告げる社長から彼へと視線を移すと、彼は「君が大丈夫なら僕は大丈夫だよ」と微笑む。
「帰るの遅くなるよ…？」
「え？残業なの…？」
「迷惑を掛けた分、倍の仕事はしないと示しが付かないからね」
「迎えに行って良い…？」
「うん」
それから出前を取ってくれた社長と彼、私の三人で私達の事を話した。事務所としてはいつゴシップ記事が出ても良い様にという考えらしく、社長は私達の話を終始にこやかに聞いてくれていたのだった。
そして、彼に署まで送ってもらい、車を預けて執務室へ戻ると「残業コース決定だな！」と声を掛けてくる山田君に「分かってるよ」とデスクに着いた。
「それで？どういう話だったんだ？」
「皆が戻ってから話すよ。と言っても動くのは私達の班になるけどね」
その後、仕事から戻って来たメンバーに社長からの要請の件を話すと、山田君は難しい顔をしていたが遠山君の方は「出来無くは無いっすけど」と判断を私に委ねる意向を示す。
「私は君達を危険に晒す事はなるべく避けたい。本来なら、先読み捜査を行う課では無いから断ったとしても此方には問題は無いの」
「お前の面子は？」
「ご機嫌取りは職務に入ってないよ」
「ヒュー！流石、我等が課長！！」
勝手に盛り上がり出す滝沢君や中山君はこの際、放置して渋る山田君に「君の意見を聞かせてほしい」と真っ直ぐと目を向ける。
「先読み捜査っつー事は、通常業務が疎かになる訳だろ？ヒーローの護衛ありきとは言っても、記憶を読み取ったり、状況判断だのは現場に行かねぇと機能しねぇ訳だ」
「うん…危険な仕事になる。だからこそ、私一人の判断で決める訳にはいかないの。補佐としての君の意見を参考にしたい」
数秒黙り込んだ山田君は軽く頭を掻くと「俺はぶっちゃけ、遠山やお前が良いなら付き合うつもりだけどさ、お前が無茶して突っ走るんなら許可出来ねぇ」と言う。
「身内だからって訳じゃねぇよ？？」
「分かってるよ」
「無茶はしねぇ、俺等の領分以上の事はしねぇって約束出来るならお前に任せる。上司命令とありゃあ、何処までも付き従うつもりだしぃ？？」
元より私に任せるつもりだったのだろう。そうおちゃらけて言う山田君に「分かった、約束する」と私は社長の要請を引き受ける事にしたのだった。
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作者名：パル | 作成日時：2019年9月7日 15時
