２３７ 緑谷side ページ50
「これを渡して、正規の方法であの人を罰するしか無いんだ。Aちゃんが血迷ってしまう前に」
そう言った時、轟君が「緑谷、悪ぃ…もう手遅れかも知れねぇ」と何処か悔しそうに、拳を握り締めながら告げてきた。
「Aと戦った時…彼奴、俺にサヨナラって言ったんだ。新しい世界で皆の活躍を見てるからって……」
轟君の言葉に頭が真っ白になった。何…？何て言ったの？サヨナラ…？新しい世界って…？？
まさか…まさかっ！！
急いでかっちゃんに電話する。コールが鳴り響く間、早く出てくれと祈りながら、どうか彼女と一緒に居てと願いながら、煩く波打つ心臓に吐き気がする。
そして、かっちゃんが電話に出た時、間髪入れずに「かっちゃん！！Aちゃんと一緒！？」と問うた。だが、携帯からは何も聞こえず…
「かっちゃん……？」
『…居ねぇんだよ。何処にも…』
「っ……」
『生徒手帳が溝に捨てられとった…なぁ、クソナード、何でテメェ…掛けてきた？』
「それは……」
『答えろっ!!!』
流れ出した涙を止める事も出来ずに、己の無力さと、こうなる前に何か方法があったんじゃないかと、考えたところで手遅れな後悔ばかりが募っていく。
「Aちゃん…轟君に言ったんだ。サヨナラって…新しい世界って皆の活躍を見てるからって…」
それは彼女が此処を去るという意思表示以外の何者でも無い。今、思えば僕の告白をあのタイミングでするのも可笑しい。そして…
「…ねぇ、葉隠さん。もしかして…葉隠さんも何か聞いてたの…？」
あんなにも彼女が居なくなってしまうと不安がっていた葉隠さん。もし、事前に何かそう匂わせる事をAちゃんが言っていたのだとしたら…葉隠さんが取り乱す理由も分かる。
「…うん。最近、Aちゃん、ずっと楽しそうにしてても、何処か遠くを見ていて、儚くて…消えちゃいそうだって…思ってて……っ」
気付くのが遅過ぎた。また、僕は…彼女の手を掴めなかった。
『っ…クソが…!!』
その日、彼女はかっちゃんの家にも僕の家にも戻ってくる事は無かった。そして休校が明け、学校が始まっても彼女が教室に来る事は無かったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
