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「ささ、試合に集中集中」
話を流す様にムクリと透ちゃんから離れて、誰も居ないリングに目を向けるが、先程から勝己の視線が煩い。
「…見んな」
「テメェ、好きな奴居んのか」
「はあああっ！？」
何！？何なの！？さっきからそんな事ばっか言いやがって…居たらどうだって言うんだ、関係無いじゃないか。
だって、僕は……此処から、居なくなるのだから。
「………」
そう思った瞬間、ｽﾞｷｽﾞｷと胸が痛んだ。まるで…行きたくないとでも言う様に。此処に居たいのだと言う様に。
死柄木さんの手を取る事は僕にとっての救いだ。あの場所は僕の存在を肯定してくれる。僕の意思を尊重してくれる。やりたくない事はやらなくて良い、僕が思う様に自由に過ごせる場所。
だから、行きたくないなんて…そんな風に思う訳がないじゃないか。
「勝己には言わない。絶対」
「俺か」
「違ぇわ！！」
何だか、二人とも楽しそうね。なんて言う梅雨ちゃんの声が聞こえた様な気がしたが、僕は何も言わずに勝己を盗み見る。
理由はよく分からないけど、梅雨ちゃんの言う通り、勝己は楽しそうだった。目に見えて笑ったりする訳じゃないけど、それでも穏やかに見える。
それが、眩しくて…何故かこそば痒い。胸にじんわりと温かさが広がっていく様な…そんな理由の分からない感覚に襲われる。
これは…やっぱりそういう事なのだろうか。大切な人＝家族という式は僕にはあまり馴染まない。でも、大切な人＝好きな人という式に、自然と勝己の顔を思い浮かべてしまう自分がいる。
それはつまり…好きという事なのだろうか。僕があの横暴で暴力的で唯我独尊の魔王を…？？
そこまで考えて、僕は趣味が悪かったのかと脱帽してしまう。何で勝己だったんだろう。僕の身近な優良物件は轟の筈なのに。
「ホント、嫌な奴だわ」
「あ？」
轟の方が絶対に好きになる要素しか無いだろう。キング・オブ・イケメン。イケメンの中のイケメン。神に愛されしイケメン。ほら、絶対轟の方が良い。
それに、轟は僕のヒーローだ。理解者であり、僕のありのままの笑顔を望んでくれる優しい人。
でも、何故だろう。そこまで良い条件が揃っているのに勝己が頭にチラついてくる。
「はぁ…」
うん、分かったよ。絶対に告げる事は無いだろうから…認めるよ。
僕は勝己が…好きだ。
出久でも轟でも無く、勝己が好きなんだ。
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パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
