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さらさら、ぱらぱらとシャワーの水が僕の頭を冷やす。思考は現実に引き戻され、明瞭になってきた脳で自分に言い聞かせる。
彼女は生きていた。頭を撫でてくれた。
だから大丈夫なんです。不安に思うことなんて一つもないんです。
嫌な汗もだいぶ流れたところで水を止める。顔をあげると、風呂場の鏡に映った自分と目が合う。やはり隈は消えてくれないが、先程よりはマシな表情をしている、ような気がした。
脱衣所に戻り、ラックに用意してあった服にぐずぐずと袖を通す。彼女は先に寝てしまったでしょうか、と物音を立てないようにリビングの扉を開けるが、僕の予想に反し、キッチンコンロの前に立ってなにやら鍋に火をかけていた。なんだか拍子抜けして少し力が抜ける。ガチャリとドアが閉まる音の後、彼女は手元に視線を落としたまま、まるで猫でも呼ぶみたいに「おいで」と言った。
「何してるんです？」
「ヤクモソウのお茶作るの。温まるよ。飲むでしょ？」
傍に寄って小さめの鍋を覗くと、ヤクモソウと思われる生薬がぐつぐつと煮出されていた。彼女が普段よく飲んでいる漢方だ。いい香りとは言い難い、草っぽい匂いが鼻につく。
ヤクモソウは「益母草」と書く通り、一般的には婦人向けの漢方とされている。僕が飲んだところでさして効果はないんじゃないでしょうか。そもそも苦いのはちょっと。云々、断りたい理由はあったものの、ここまで準備をしている彼女にそれを言うことは躊躇われた。消去法的に、やむを得ず「じゃあ、いただきます……」と返事すれば、彼女はそれをわかっていた様子で、
「うん。少し待ってて」
と再び僕の頭を一撫でした。むっとしてみるが、彼女は意に介さずといった様子で微笑んだ。
液体の緑が濃くなってきたら火を止めて、湯呑みとマグカップにそれぞれ注ぐ。その中に蜂蜜をスプーン一杯分入れて、くるくるかき混ぜれば完成のようだ。
「どうぞ」
差し出されたのは小さめの湯呑み。少し濁った緑の水面が手の中でゆらゆらと揺れている。恐る恐る口に含むと、思わず顔をしかめた。苦い。それも単純な苦みだけじゃない。気休め程度に入れられた蜂蜜の甘ったるさが、まるで反発しあうようにお茶の苦みを強調している。甘いのに苦い、そんな理不尽で乱暴な味だ。頭がクラクラする。
あまりにも苦いのでちまちま飲んでいると、隣で一緒に飲んでいた彼女が「可愛い」と笑った。意味が分からない。
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繪棲(プロフ) - す、素敵…！！落ち着いた優しい雰囲気の世界が急にひっくり返って…頭が打たれたような感覚になりました。凄く好きです…！！ (2021年11月24日 0時) (
レス) @page17 id: 222d8aed0b (このIDを非表示/違反報告)
上鳴忠(プロフ) - ループ物語ですか！？うっわ…最高すぎました… (2021年11月20日 11時) (レス) id: b231fac804 (このIDを非表示/違反報告)
上鳴忠(プロフ) - わー！最近イナイレの作品が少なくなってて更に推しのやつも変わってないなーと思ってたら！ (2021年11月20日 7時) (レス) id: b231fac804 (このIDを非表示/違反報告)
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