第百二十二話 不完全な解毒 ページ36
No SIDE
デント「ジョーイさん！
タブンネと一緒に来てください！
このフシデの群れをどうにかするのに
タブンネの力が必要なんです！」
ジョーイ「え？！」
デントがそう言うと、
受付にいたジョーイは目を丸くした
突然入ってきてこんなことを言われれば
誰だってこうもなるだろう
『アーティーさんが…そう言ってて…』
ジョーイ「アーティーさんが？わかったわ！
タブンネを呼んでくるから少し待ってて！」
アーティーの名前を出されすぐに納得したようで
ジョーイさんはパタパタと
走り、タブンネを呼びに行った
『…すごいね…アーティーさん…』
デント「そうだね…
でも僕も君にはよく驚かせられるよ
…？」
ふとAの顔を見ると違和感に気がついた
顔は赤く、少し息も荒い
もしやと感づいたデントは
Aの額に触ると予想どうり熱かった
デント「熱があるじゃないか！！
もしかしてさっきの毒がまだ残って？！」
『…大丈夫だよ』
デント「これの何処が大丈夫なんだ！！」
思い返すと地上に出てから
明らかにAの口数は減っていたし
足取りも重いようにも感じた
しかし本人に危機感がないのか
それとも、迷惑をかけたくないのか
大丈夫と繰り返すだけだった
ジョーイ「連れてきたわよ！…どうかしたの？」
そこへ丁度タブンネを連れた
ジョーイさんが到着し二人のやり取りに
何かがあったと察すると首を傾げ問いかけた
デント「すみません、この子熱があるみたいで…」
ジョーイ「もしかしてフシデの毒？」
デント「恐らく…
すぐに毒消しの薬を飲ませはしたんですけど…」
ジョーイ「薬を飲ませたのなら
多分まだ解毒しきれてないのかもしれないわね
安静にしていれば大丈夫なはずよ
…これ！部屋の鍵！」
デント「ありがとうございます！」
ジョーイから空室の
部屋の鍵を受け取るとデントは
Aの体を支えた
デント「さぁ、行こう」
『いや…一人で行けるよ…』
デント「いや、一人じゃ無理だよ！」
Aの目は段々と
薄っすらとした熱のこもった目になり
姿勢もいつもより丸く猫背になっている
端から見ても辛いのだとわかるくらいだ
しかしAは首を横に振った
『大丈夫だから…
早くアーティーさんたちの所へ…』
デント「っ…でも」
『いいから…』
ジョーイ「…行きましょう」
ジョーイがデントの背中を押すように言うと
デントは渋々、アーティーたちの元へ向かった
第百二十三話 寂しくてあったかい→←第百二十一話 アーティーの作戦
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ラム酒 | 作成日時：2022年9月26日 3時
