【pkmn】冠雪原の彼女と僕 3 【デント】 (ページ7)

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第九十四話　小さな本音ページ7

A SIDEK

部屋に帰ってもデントの様子は改善しなかった

…変なこと言って更に不機嫌になられても
面倒だし下手に触らんほうがいいのかな

デント「Aちゃんってさ…」

『な、なに？』

ずっと黙っていたと思ったら急に口を開き
少し驚きながらも何かと思い聞き返す

デント「…Aちゃんは

僕に会うために
イッシュ地方に来たんじゃないの…？」

『…は？』

訳の分からない言葉に
思わず首を傾げてしまった

いや、マジで何を言っとるんだコイツ…

デント「…この地方に来たのって
僕に会いたいがためだと思ってたのに…

師匠との約束のためだったなんて…」

えぇ…

なにその弄ばれた女みたいな反応…

えぇ…私が悪いのか…？

デント「僕のこと…嫌そうに引き剥がすし…
本当はそんなに好きじゃないんじゃないの…？」

…コレさ

引き剥がして怒ったの根に持ってるだけじゃ…？

…

…全く

『本当はさ

別にどこの地方でジム巡りしても良かったんだよ』

デント「え？」

『指定はなかったからね…』

デント「それって…」

『まぁ…会えるかなって…思ってさ…

深い意味はないけどさ…』

話せば話すほどに自分の心臓の音が
煩くなるのを感じる

恥ずかしいから黙ってたのに…

こっちの気も知らないで好き勝手言いよって…

『それに…

あんな周りに人がいるところで
抱きつかれたら…誰だって引き剥がすよ』

デント「…Aちゃん」

…でも

しょぼくれるデントを見て
罪悪感が感じなかったと言えば嘘になる

『恥ずかしいのであって…

き、嫌いじゃないから…』

デント「…なら好き？」

『っ…』

デント「ねぇ…好き…？」

必死に縋り付くように、迫るデントに
言葉はつまり、苦しまぎれに後退る

しかし、デントは引き下がる様子はない

っ…

『…す、き…だよ…』

顔の熱が恐ろしく上がるのを感じる

顔の熱さも、デントに送った言葉も

恥ずかしくて、たまらない

しかしデントは喜ぶとかではなく
ただ何故か口元を隠して固まっていた

デント「…それは…ズルい…」

『な、なにそれ…』

【ぎゅぅッ】

デントの言葉に怒ろうとすると
先程とは違い、優しく抱きしめられ

ふんわりとした優しいハーブの香りに包まれる

いつもこだわって料理をする彼らしい香りだ

デント「僕も好き…」

満足そうな声色になんだか流されてしまい

二人っきりなら

まぁ…いいのかな…と少し思ってしまった