【d!】ギスゲバ荘の大家 (ページ10)

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そう、目の前のものはAがたまのご褒美に奮発して買いに行っている有名店の宇治抹茶生チョコレート。
そしてこちらも好物であるアイスティー。
あまりにドンピシャすぎて驚いたが、心は完全に食べ物に奪われている。

kn「あっそうなの？ふーーん？たまたまウチにあったんだよねーーー？」
「こんな良いもの頂いちゃってなんか悪いことしてるみたい....コネシマさんも甘いものお好きなんですか？」

明らかにコネシマは挙動不審だが、Aはテンションがブーストしているため気づかない。
それどころかニッコリとキラキラとした目でコネシマに尋ねた。

kn「おおん！好き好き！いやーこういうもんはいくらあってもええよなーー！！」

「はい！ほんとに嬉しい！では頂きますね」

にこにこで生抹茶チョコを頬張るAを見ながらコネシマは最近の部屋の問題点を話す。
どうやら勝手に物が消えたり、知らない物が増えたりしているらしい。

ここで、この物件についておさらいしておこう。
冒頭で少し触れたとおり、このマンションでは住む人の好み・性格・収入・生活の有り様によって《部屋自体が》変化する不思議な特性がある。
つまり、無職の人だと6畳風呂無し、稼ぎがある人だとコネシマのようにバカデカくなる。
コネシマ宅はいくつも部屋があるらしく、広いリビングからさらに奥へと続く廊下が見えるが、そちらの方はいくつかの重そうなドアがすべて固く閉じられている。
意外と繊細で心のガードが固い人のようだ。

「紛失と発現はそんなに珍しいケースではないかと思いますが、最近ご自身の環境などで何か変化は？」

kn「いや、ないね」

「そうですか...とするとどうしてでしょう。紛失物と発現物はどういったものですか？」

kn「エ○本が消えたやろ、エ○DVDも一本どっかいったし...ああ増えたんは食いもんやな」

「はあ....」

あまりそういうものを所持していることを女性に公言するのは...と思ったが、微妙そうな顔をするだけで特に何も言わなかった。

kn「しかも食いもんはきまって飯食い終わったあとに現れるし、重いモンばっかしやし...って、アアーーーーーァ！！！！」

「っっ！？コネシマさん？」

kn「またや！！」

コネシマが指差すほうを見ると、ソファの向こうのダイニングにほかほかと湯気をたてるBIGサイズのカツ丼が２つ鎮座しているのが見える。

kn「....ラップかけてくるわ」

「はい...」

「(((おい...！俺の声聞こえる？)))」