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無(自覚)個性のお話 4/MHA ページ21

後でわかったことだが、どうやらかっちゃんがすごい勢いで木を爆破し、その木が私の真横に倒れたようだった。
いやいやいや、どうしてそうなった？
言いたいことはたくさんあるが、取り敢えず環境破壊ダメ、ゼッタイ！！

しかしそもそも、かっちゃんの個性を見た男の子が、どうやらその個性で木破壊できるんじゃね！と発言し、なかなか行動に移さないかっちゃんに、もしかしてできねーの？なんだ大した個性じゃないじゃん！と煽ってしまったようだった。
煽り耐性のない彼になんてことを。

漸くさっき真横を勢いよく通り過ぎていったものが木であることを理解して、そこで自分の真横を見てみると確かに木の幹があった。
え？怖すぎない？
出久なんてぼろぼろと涙を零しながらよかったAちゃん！！と私に抱き着いてきている。
あ、可愛い。

その一件があってからというもの、やたらとかっちゃんが傍にいてくれることが増えたように思う。
もしかしなくとも、彼は責任を感じているのだろうか‥？
今もクレヨンでお絵描きをしている私の隣で遊んでいるかっちゃんをちらっと見る。
何度かかっちゃんには、気にしなくていいよ、と伝えてみたがうるせえの一点張りだった。

「Aちゃん、何かいてるの？」

不意に出久に声を掛けられて、向かいの席に座って私と同じようにお絵描きをしている出久の方へと視線を向ける。

「えっとね、わたしと、出久と、かっちゃん！」

本人の目の前で言うのはめちゃくちゃ恥ずかしいが、聞かれたら答えるしかない。
ごめんな！！下手くそが神の申し子二人を描いて！！そしてちゃっかり自分も入れて！！

私の言葉を耳にしてか、他事をしていたかっちゃんがこっちを見て、そして私の横から絵を覗き込んできた。同じように、正面から身を乗り出すようにして私の絵を見る出久。
公開処刑かと思った。

「すごい！！Aちゃん、絵じょうず！」

嬉しそうに私が描いた出久を指差してぼくだ！とぴょんぴょん跳ねる出久が本当に可愛い。
お世辞でもご本人様に褒めていただいた私の命日は今日かもしれない。
一方かっちゃんは、少し絵を眺めた後ぼそっとへたくそと呟いてまた他事へと戻っていった。
文句なしの爆豪勝己な回答に安心感を覚えつつ、出久は何を描いてるの？と問い掛けるとオールマイト！と元気な声が返ってきた。ですよね。

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