私に教えて 2/爆豪-MHA ページ16
突然泣き出したソイツにぎょっとしていると、なんで、と声を震わせながら話し始める。
「なんで、とめたの。」
弱弱しく俺の胸を叩きながら、ボロボロと涙を零しながら呟く飛び降り女。
「逆に聞くが、なんで飛び降りようとしたんだよ。」
問い掛ければ、涙でぐちゃぐちゃの顔もそのままにこっちを見て、更にぐしゃりと顔を歪めた。
「もう、なにもしたくないから。生きていても、つらいことばっか。もういやなの。」
ぎゅう、と俺の服を握りしめ、一向に泣き止む気配のないクソ女。
そんなソイツに手を伸ばし、思い切り頬を抓ってやった。
「いっ、いひゃい‥！」
「このへっぴり腰女。そうやってテメェ、今まで散々逃げてきたんか。」
図星だったのか、ビクッと身体を震わせるソイツを鼻で笑う。
「もうなにもしたくないだァ？何もしてねぇうちからんなことほざいてんじゃねぇぞ人生舐めプ女。」
「う、ぅ…な‥にもしらないくせに、」
「テメェの面見てたら嫌でも分かるわクソ。どうせ失敗が怖くて何かやる前から諦めて逃げてんだろ。」
「‥‥っだって！怖いんだもん！傷つきたくないもん！！悪い！？」
駄々っ子のようにそう叫んだ女の頬をもう一度抓れば、いひゃいぃ、とぼたぼたと涙を零す。
あまりにも不細工なその顔に少し笑えば、なによおぉ、と生意気な口をきいたため更に引っ張ってやる。
「悪くねェよ！！けどなァクソカス女！！！テメェにも向き合えたもんがあっただろ！！！！」
相手の頬から手を離し、代わりに相手の手首を掴み目の前に突き出す。
驚いたように己の指を見つめるソイツに続けて叫ぶ。
「部屋にあったモン全部テメェが作ったんだろ。そのクソボロボロな指見るに全然得意じゃねぇんだろうが、それでもずっと続けてきたんだろ。それはなんでだ。」
「‥な‥んで‥‥」
「楽しかったからだろ。」
嫌でも起きた時に目に入ったコイツの部屋のベッドの上や棚に置かれた縫い包みの数々。
嫌いだったらこんな手がボロボロになるまで続けるわけがない。
「そうやって逃げずに向き合って、やっと楽しいモン見つけられたんじゃねぇんか。」
「‥でも‥‥もう‥応援してくれる人も、いないし、私、ひとり、だから、」
「だったら、」
自分でも、こんなことを言うつもりなんてなかった。
けど、この女を見てるとどうにもいてもたってもいられなくなって、
気が付いたら、
「俺がテメェを応援し殺して、クソ死にたくなる程生きたいと思わせてやる！」
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作者名：その辺の人間 | 作成日時：2019年2月19日 0時
