夜の世界の殺し屋たち。 (ページ46)

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【樹】

俺は極道の世界で生きる父親の元に生まれた。物心ついた時にはもう母親はいなくて、母親の記憶なんて一ミリもない。

だから、シングルファーザーのパパに育ててもらっていた。

でも、パパの仕事の影響で何度も事務所に出入りをしたりすることは多くて。

その影響でよく同じ事務所のヤクザたちに俺は可愛がってもらっていた。

．．．.そこには今回殺した組長もいたわけだけど。

俺が小学校に上がる直前、パパは極道の世界から足を洗った。

そして、新しく土木の現場で働き始めて。

その時に俺はパパに聞いたんだ。『どうして辞めたの？』って。

そうしたら『お前には俺のような奴にはなってほしくないから辞めたんだ。将来はちゃんと表の世界で生きるんだぞ』って言われた。

勿論、当時の俺は二つ返事で『うん！』と答えた。

．．．.だけど、成長して俺は今、この世界で殺し屋として存在している。

つまり、俺はパパに言われたことを守れなかったわけ。

ある意味、親不孝者なのかな。