依存症。3 ページ2
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「やばかった! 」
そう言って私の方に駆け寄る綾菜。
さっきまで私の事なんて放ったらかしにしてた癖に。
同じく私の机の前にいる山中さんは
綾菜の事を見て少し微妙な表情を浮かべた。
「えっと..」
「ねぇ、A。」
山中さんの言葉を遮った綾菜。
大きな瞳で山中さんを横目に見ながら
私の耳に顔を寄せた。
こそこそ話というものか。
「何で山中と話してんの? 」
「私が1人で居るから来てくれただけで..」
わざと山中さんに聞こえるように話す綾菜。
山中さんは傷付いた様に俯いた。
綾菜のふわふわな栗色の髪の毛がチラチラと視界に入ってきた。
「A、山中みたいな奴が良いの? 」
(……いじめる貴方より断然マシ。)
そう、思うのに..
思っているのに、口が上手く動かない。
それはまるで否定するのを止めている様。
嗚呼、きっとこの時既に依存していたんだ。
友達という存在に。私を認めてくれる存在に。
「山中とか..無理。」
「..でしょ? やっぱりAは分かってるわ。」
「――――――っ! 」
私のその言葉に綾菜は満足気に笑う。
山中さんは一瞬驚き、
より暗い表情になってしまった。
(...ごめんなさい。山中さん。)
心の中でそう謝りながらも
私の頭を「偉い偉い。」と撫でる綾菜を見て
私は幸福感で満たされていた。
綾菜が私を認めてくれている。
それが狂おしい程に嬉しかったんだ。
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い ち ご み る く(プロフ) - ちようさん» ありがとうございます^^ 私も読者さんが居ないと成り立たないので読者さん、本当に大好きです!私も友達関係はいざこざも多々あります。やっぱり人間関係って難しいですよね... (2017年7月14日 12時) (レス) id: b17827fd0d (このIDを非表示/違反報告)
ちよう - いちごみるくさーーーーん大好きです。私もこういうのありますよ (2017年6月5日 18時) (レス) id: 9f4860e3f3 (このIDを非表示/違反報告)
い ち ご み る く(プロフ) - グレープフルーツさん» 初めまして。そう言って頂けて幸せです^^ 読んで頂き、本当にありがとうございます。本作は楽しめる様な内容ではありません。故にそういった趣旨のお言葉を頂けると凄く嬉しいです。 (2017年6月2日 16時) (レス) id: b66382129b (このIDを非表示/違反報告)
い ち ご み る く(プロフ) - 緋色さん» 丁寧で正確な御指摘、本当にありがとうございます^^ すみません。訂正しておきます。優しいお言葉を掛けて頂けて凄く嬉しいです。更新頑張ります^^ (2017年6月2日 16時) (レス) id: b66382129b (このIDを非表示/違反報告)
グレープフルーツ - すごく共感できました。この手の話は過去に読んだことがありますが、文章が上手く、言葉が的確で、主人公の心情がよりリアルに感じられました。 (2017年6月2日 13時) (携帯から) (レス) id: 24f451bbb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:い ち ご み る く | 作成日時:2017年5月31日 17時