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先輩は今の落ち込みモードからの復活具合についていけてなかったみたいだ
「今日の本題はここからです」
私は意気込んで前のめりになった
「ベクを堕とすべく、まずは会おうと思ったんですけどそれがなかなか捕まらなくて…
先輩、ベクのよく行く場所とかご存じですか？もしくは最近の調子とか、
「ちょ、ちょっと待って！」
「はい？」
「まず、質問に答えさせてもらうと、俺はベクヒョンのよく行く場所は分かるけど、それはたぶんAちゃんの方がよく知ってると思うんだ」
…確かに
先輩は女装のことは知らないんだから、女装のときの行動範囲も含めば私の方が知ってるだろう
「だから俺に聞いても意味はないと思うよ」
「そう、ですね…」
さっきまでの勢いを失い、背もたれにトンと体を預ける
先輩以外にベクの親しい人物は思いつかない
手がかりは消えた
今になって、自分が思ってる以上にベクを知らなかったことを思い知らされた
「でも、そこで俺に良い考えがあるんだ」
良い考え？
「俺と付き合わない？」
「は？」
何言っちゃってんのこの人！？
こっちは悲しい雰囲気醸してるのに、雰囲気ぶち壊す突然のプレイボーイ発言！？
ドン引きして身を引くと、先輩は訂正する
「あー違う違う。もちろんフリだよフリ」
フリって言われても、それのどこが良い考えなのかさっぱり分からない
だってすでにそういうことをして失敗してるんじゃないの？
「Aちゃんが追いかけたらベクは逃げちゃうんだろ？だったらおびき寄せるしかない」
「私と先輩が付き合ってもおびき寄せられないと思うんですけど」
「いいや、絶対アイツは来るよ。
2人の間に何があったかは詳しく聞かないけど、俺が思うにアイツはAちゃんのことを大事に思ってるはずだから」
「そんなわけ、
「目の前にあることだけが真実じゃない。
君たちが一緒にいた日々を考えてごらん」
私たちが一緒にいた日々…
初めて買い物したときも
デートしたときも
運動会のときも
お泊まりしたときも
遊園地に行ったときも
クリスマスのときも
ベクはいつも優しくて、暖かくて、
私を照らす光のような存在だった
“大事に思ってるはず”
先輩の言葉が頭の中で繰り返される
本当にそう？
でもベクは…
“
問題は私が何を信じるかだ
私は…私はっ
『Aっ！』
無邪気に笑って私の名前を呼ぶベクを信じたい
「先輩、その案乗ります」
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作者名：ウサン | 作成日時：2017年2月23日 21時
