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さて
ベクを振り向かせるぞ！と意気込んでから、気づけば一月も終わりに差し掛かってきた
肝心の成果は…
「ぜんっぜん捕まんねえ」
ちゃんと学校に来ているらしいが、全休み時間を使って学校中をくまなく探しても全く見つからないのだ
こっちは授業中に弁当食べて、先生にバレるかどうかっていうリスクを負い、さらに昼休みに誘われたバレーを断ってまで探したのに！！
「ﾁｯ…いい加減出てこいよ」
「いや、まずお前が出てこい」
チャニョルがこたつに潜り込んでいた私をズルズル引っ張り出す
「いーやーだー寒くて死んじゃうー」
「数学やんなかったら死ぬ以上の苦しみを与えられるんじゃなかったっけ？」
ギクッと背筋が凍り付く
私の頭に浮かんだのはあの百万ボルトの雷を落とすゴリラの顔
今回の学年末テストで赤点を取ったら今度こそ1を付けるぞと脅されたのだ
だから数学が得意なチャニョルに昨日から家庭教師をやってもらっている
「多忙なこの俺がわざわざAのために時間を割いてやってるんだからな」
「なーにが多忙だよ。どうせまたハナちゃんとデートなんだろ」
「帰ろうかな」
「あぁぁぁ待って下さいチャニョル様！勉強するから！ちゃんとやるから！」
そう言ったらチャニョルはやっと般若のお面を外してくれて、私は仕方なくシャーペンを手に持って机に向かう
カリカリカリカリ…
ベク、マジでどこにいんだし
神隠しにでもあった？
このままじゃ惚れさせる以前に、話すことさえできずに終わっちゃうじゃん
カリカリカリカリ…
それとも顔を合わせたくないほど私のことが嫌いなの？
電話も繋がらないし、私との関係を完全に断ち切りたいわけ？
カリカリカッ…
チャニョルが私の手を止める
そのせいで、シャー芯がポキッと折れてどこかに飛んでいった
「何すんの？」
「違うこと考えてやっても意味がないだろ」
「ちゃんとやってます！」
「じゃあこの×だらけのワークは何？
さっき俺が教えた問題、そのまんまなんだけど」
うぐっ…言い返せない……
「はぁ…本人にはどうせ会えないんだから、周りから何かヒントを探せよ。例えば親しい人とかさ」
親しい人か…
私の喋れる人でベクと仲良い人って…あっ！
一人いるじゃん！！
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作者名：ウサン | 作成日時：2017年2月23日 21時
