Mr.Princess #3 (ページ1)

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「A、薬忘れてる！」

「あーはいはい」

玄関先でお母さんが投げた錠剤の入った小袋を見事にキャッチする

「ったくアンタはね…」

「おはようございます」

小言を言い始めたとき、
無事仲直りして一緒に登校するようになったチャニョルが、お母さんにペコッと挨拶した

ナイスタイミングだチャニョル！

「あら、チャニョル君！雪で道路凍ってるから気をつけて行ってらっしゃいねー」

「私と扱い違うんだけど！！」

「うるさいこのバカ娘！遅刻するんじゃないよっ」

というわけで今日は十日振りの学校だ

どうしてそんなに長くなったかというと

「インフルかかって、そのあと風邪も引くって、なかなかないよな」

というわけである

雨に打たれたことで免疫力が低下したらしく、流行のインフルにかかって一週間、
プラス七日目にまた風邪を引いて三日間

「てかそんな奴の傍にいても体調崩してない俺のハッピーウイルス強くない？」

「ハッピーウイルスはなんかまた違うと思うけど」

インフルエンザ自体初めてだっていうのに、風邪と連チャンでかかったのはなかなか辛かった

それに今までかからなかった分が一気に来たのかも

インフルエンザって、普通の人は三日ぐらいで治るようだけど、私、五日間ゲロゲロしたから(笑)

「まあ、Aがこんなに弱っちくなるほどだから、ほんと失恋の威力ってすごいよな」

バコンッ

「デリカシーなさすぎる」

「ごめんなさい…」

チャニョルには後日、ベクのことを話した

女装のことは伏せておいたから、いまいち伝わっていなかったのかもしれない

眉を寄せてうーんと難しそうな顔をしてた

『なんか全体的に難しかったけど、とりあえずAが今でも好きなことだけは分かった。
んー、俺だったらソイツがどんな人であれ、とにかく振り向かせるなぁ』

“単純すぎ？”ってチャニョルは笑ったけど、その答えこそ私が求めていたものだった

そうだ、恋愛なんて単純なものなのだ

深く考える必要なんてない

ただ想うままに進めばいい

「うぉっしゃぁぁあっ！待ってろよビョン・ベクヒョン！絶対惚れさせてやるからなー！！」

「策はあるの？」

「ない！」

「………(汗)」