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どんなにツラくても悲しくても
試練は私たちの心情なんか気にせず、必ず訪れる
「テスト返却しまーす」
一番から順にゴリ先生のもとへ解答をもらいに行く
自信満々な様子で受け取りに行く者、うつろな目で受け取りに行く者様々
私は他の教科はそこそこなのだけど、数学に関してだけは後者だ
あーあ、テストってなんで存在してんだろ
そんなことしたって誰も幸せにならないのに、むしろ不幸になるくらいなのに
大人は将来のためだ何だって言うけど、ぶっちゃけ高校生の今を楽しむ方に時間を費やしたいじゃん？
苦手教科の点数なんて見てガッカリして、モチベーション下げるだけだよ？
そんなものなくなってしまえばいい
そーだ！テストなんてなくなれっ！
「はーいストップ〜♪
チェ・Aさん。安定の赤点どころか先生の前で解答用紙を破ろうとするってどういうことかなー？」
ゴリ先生にそう言われて自分のしようとしていたことに今やっと気づく
私の手元にはちょっぴり切れ目の入った数学の解答用紙があったのだ
それも×ばっかりの
「あ、えっと、これは無意識で
「放課後、数学科に。すっぽかしたらどうなるか分かってるよな？」
有無を言わせぬ圧力をかけられ、ただこくこくと首を何度も縦に振るしかなかった
ようやく悪夢のテスト期間から解放されて、残るは早帰りの日々と退屈な終業式だけだと思ってたのに
最後の最後にゴリ先生からのお叱りを受けに行かなくちゃいけないなんて本当ツイてない
そのことをベクにメールで伝えると
“じゃあ先帰るわ”って文と子犬がファイト！って手を突き上げてる絵文字が返ってきた
ベクとはもう一週間近く一緒に帰っていない
というのも
お互い委員会があったり、呼び出しを食らったり、それもかなり時間のかかるやつばかりで、待たせるのも相手に申し訳ないから、そういうときは帰ることにしたのだ
でも逆にそれがちょうど良かったりもするのだけど
だってあんなことがあったのに、どういう顔で接すればいいか分かんない
それに今の私はちょっとおかしいから
“ベク”と聞こえる度に体が反応して、胸の辺りがバッコンバッコンうるさくなる
これはそう…
病気なんだ！
名付けてベク病とでも言おうかな
だから面と向かってベクに会ったらきっと死んじゃうかもしれない
でも会わなかったら会わないで、またバッコンバッコン鳴るし
ベク病はかなり厄介な病なのだ
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
