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背中に感じる他人の熱
今なら素直になれる気がする…
「ベク」
「んー？」
眠たそうな声
起こしちゃったかな
「ごめん、何でも
「いいよ、ちゃんと聞く」
今度ははっきりとした口調で言うと、隣でごそごそと動いて、私の方を向いた
その距離の近さに照れ臭くなり、ぱっと顔を逸らして天井を見ながら話し始める
「私にはね、小さな頃からずっと一緒の幼なじみがいるんだ。そいつは私にとって本当に大切な兄弟みたいな存在だった。
そう…
“だった”んだ。
いつから変わっちゃったのかなぁ
首のコレ、そいつにやられたんだよ。
その理由がさ、私が嘘吐いたからだって。初めはそんなことでって思ったんだけど、それにはもっと深い意味があった。
私のこと、ずっと好きだったんだって。
笑えるよね。兄弟だと勝手に勘違いしてたのは私だけだったんだから。
それで訳分かんなくなって、最低だって言っちゃって…
壊れちゃったんだ全て。
私のせいで、私が、……壊したんだ。
今日はそいつの誕生日だったのに、おめでとうも言えてない。
これから先も言えなくなっちゃうのかな。
思い出も作れなくなっちゃうのかな。
もう…
戻れないのかな……」
ベクは私の手に指を絡めて、ぽつりぽつりと言葉をこぼす
「大丈夫だなんて言葉、大丈夫じゃない人に使っちゃいけないのだろうけど」
「大丈夫。きっと戻れるよ」
「今頃… 彼もAと同じくらい苦しんで、傷ついてるだろうから。どうしてあんなことしちゃったんだろうって。Aに嫌われちゃったって」
「だからAの痛みも十分知ったはず」
「そうしていつか、彼自身が自分の過ちと向き合えるようになったとき、Aは彼を受け入れてあげて」
「時間はかかるかもしれない。
けど急がないで、じっくり待つんだ」
「それに、二人は兄弟なんでしょ？
兄弟の絆はそんな簡単に切れるもんじゃない」
「だから絶対に戻れる」
“保証する”と言うように、握られた手にこもる力が強くなる
「少しの間、寂しくなるかもしれないけど」
「そしたらアタシがそばにいてあげるから」
ベクの言葉は、チャニョルを失った私の心の隙間を埋めるようだ
「…っ、」
それから私は今日最後の涙を流した
ベクは泣きやむまで私を後ろから抱き締め、一定のリズムで頭を撫でてくれる
ベク…
今日はありがと
ベクがいてくれて良かった
そう思いながら独特の甘い香りに誘われ、深い眠りに落ちていった
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
