番外編4─CY×HN─ ページ50
CYside
それから少しの間グズグズしてたものの、あっという間にハナは通常運転に戻った
“もう大丈夫だから”と俺の腕から抜け出し隣に腰を下ろす
俺も腰を下ろした
「ｸﾞｽﾝｯ…で、Aちゃんにはいつ謝るの？」
「え？」
「悪いことしたなって思ってるんでしょう？だったら謝らなきゃ」
謝るっつったって、あんなヒドいことした俺がAに合わせる顔なんてあるんだろうか？
いや、ない
それに、あの俺を軽蔑したような目
思い出すだけで息が詰まって、今にも吐き出しそうになるほど苦しくなる
仮に謝りに行ったとして、またあの目で見られるんじゃないかと思うと「怖い？」
心の中の声とハナの声が重なる
驚いてハナを見ると、ぽんぽんと俺の頭を撫でながら言った
「私もね、チャニョルにいつフられるんだろうかって、いつも怖かったよ。けどそれで怯えて避けてても何にも変わらないと思ったから今がある。チャニョルもそれは分かるよね？」
コクリと頷く
ハナの言うことは正しい
だけど…
「だけど、今すぐ会いに行ける勇気は…
「今すぐじゃなくていい。自分の過ちを全て受け入れて強くなれたときでいいんだよ。
その間にもし辛くなったなら私に話してごらん。私はいつだってチャニョルの味方だから」
“だから頑張れ”とハナは俺の手をギューッと握る
小さいはずの手は、なぜか俺の手を包み込むほど大きく感じられ、ほろりと涙が零れそうになった
ハナが帰ってから、散らかしてしまった部屋を掃除する
家族にこの状況をどう説明しようかと悩んでいると、ふとハナにもらったプレゼントが目に入った
そういえば、元々それを渡すつもりで俺の家に向かってたんだって
だけど、もちろん家にはいないわけで、諦めて引き返してる途中で電話がかかってきて、勘でAの家に来たらしい
なるほど、それで早く着いたわけだ
こんな俺のために直接プレゼント渡そうとするなんて…
くーっ、つくづく俺にはもったいなさすぎる彼女だ！
“たぶんチャニョルが今一番欲しいものだよ！”って言ってたな
俺の欲しいもの…
あのキャラのフィギュアかな？それともあの歌手のCDかな？
期待を胸に箱を開けるとそこにあったものに言葉をなくす
“これ一本でしっかり育つ！！
韓国売り上げNo.1育毛剤─FUSAMOSA─”
十六歳にはあまりにも酷なプレゼント
だけど不思議なことに、またくすぐったさが胸に広がった
番外編end
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
