Mr.Princess #2 (ページ46)

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CYside

“良かった。おめでとう”ってAは心から言ってくれた

反射的に、胸元をぎゅっと抑える

…大丈夫だ、もう痛くない

そうやってAの言葉をすんなり受け入れられるようになったことに、もう吹っ切れたんだと安心した

じゃあ今度こそちゃんと言わなきゃな

こんなことで俺の罪が軽くなるなんて思ってないけど、これは俺のやらなきゃいけないことだから

「俺さ、Aのこと本気で好きだった」

「うん…知ってる」

「誰にも取られたくなくて、お前のことずっと縛り付けてた」

特にガキん時なんてヒドかったよ

Aにちょっとでも気のある奴がいたら、ソイツに“男が好きなの～”ってバカにして、半ば無理矢理否定させてたし

男友だちにAを紹介するときはまず“コイツは男だ”って植え付けてきた

「俺のせいでAは男っぽいから抜け出せなかったよな」

「チャニョル、それは違う。私がこんな性格になったのは誰のせいでもない、私が自分で選んだんだ」

こんなときまで俺を責めないとか、どんだけ男前なんだよ

……だから好きだったんだよ

「言うの遅くなったけど、お前の手、もう離すよ」

「チャニョル…」

あ、Aが泣きそう

泣いてるA可愛いけど、泣かせたくないなー

うしっ！ハッピーウイルスばらまこう！！

「でもでもでもっ！何かあったときは全力で助けるからな！
幼なじみだし、それにAには色々と借りがある。危うく間違えるとこだったけど、Aのおかげで大事にすべきもの分かったんだ。
だから今度は俺がお前に教える。つっても言えるのは、大事なもんは手放すなってことだけだけど」

ぐっと親指を立てて、史上最多のハッピーウイルスをばらまく

「……」

Aは唖然として俺を見つめる

「ん？俺の言葉に感動した？(笑)」

「いや、なんかお前…老けたなって」

「なっ…、俺はまだピチピチの16歳だっつーの！！！」

ブハハハハハッ

とんでもない顔して笑い合う

…こんな風に笑えたのはいつ振りだっけ

「それにしてもなんで雨の中にいたんだよ」

「話すと長くなるから今度教える」

小さな頃から成長を見てきた幼かった虫は、殻を脱し
今、ようやく蝶となって羽ばたいていった…