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数日経てば私らが別れたという話はだいぶ静まって、ようやく平穏な日々に戻った
……わけもなく、相変わらず注目を浴び続けている
というのも一応元彼という設定のビョンさんは
別れた途端、過激派のベクペン(芸能界的に言うとサセンとかいうやつ！)につきまとわれ、本当にどこぞのアイドル状態
そして私はというと……
ギィ
下駄箱を開けると必ず入っている手紙
こういうのは大体、良い方と悪い方の2パターンって決まってて
まさか良い方─ラブレター─！？
って思いたかったところ、
そんな期待は、初めの内こそ言い寄ってきたものの
“なんか見た目は変わっても、中身はAのままだな(笑)”
という発言をして、以前の態度に戻った複数の男子によって瞬時に抹消される
そういうわけで私の場合はもちろん悪い方、つまり嫌がらせの手紙
だったらまだ良かったのに
そういうわけでもないから面倒臭いんだ
“ベクの落とし方を教えて下さい！！”
“どうやったらベクに好きになってもらえるんですか？男っぽくなればいいのでしょうか？教えて下さい”
“Aさんのようになるにはどうすればいいですか？”
「はぁ…」
んなこと
「知るかーーーーっ！！」
私、まず落とせてないから！
つーか落ちたのはこっちだし
ベクの落とし方を教えて下さいだって？
そんなの私が知りたいわ！！
だけどそれで“知りません。分かりません”って言ったら
“アイツはまだベクのことが好きで、他の奴に取られたくないから教えないんだ”
って勝手に大ウソ流されて……
もうさ
「なんで女子ってこんな面倒臭いんだかなぁ」
「女子のAちゃんがそれ言う？(笑)」
お客さんが来ない時間帯
レジに立っていて ついこぼしてしまった愚痴に、そばで商品の前出しをしていたミンソクさんがすかさずツッコむ
「何かあったの？」
「ただ女の子は恋に盲目だなって話ですよ。それに巻き込まれてる身としちゃ面倒臭いんですけどね」
「ははっAちゃんってドライだね(笑)」
「でもこれって世の中の男の人の一般論じゃないすかー」
「んー俺はむしろ楽だと思うけどな。分かりやすいじゃん」
「そうですかねー？」
「ものすごく分かりやすいよ。
例えばほら、Aちゃんはベクが好きだとか」
「……………えっ？」
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
