Mr.Princess #2 (ページ38)

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「自由の身って……私まだちゃんと女の子になれてないよ？」

「Aはそう思ってるけど、周りは女の子として見だしたでしょ。現にあの女好きのヒチョル先輩が言い寄ってきたわけだし」

「でも…」

「でもなに？このアタシがもう十分女の子だって認めてるのに、これ以上何を望んでるの？」

何を望んでるのかって？

その望みを言っていいのなら、言ってしまいたいよ

好きだって

私の彼氏になってほしいって

でも親友でいるって決めたから

「……」

唇を固く結んで何も言わない私を見かねたベクは
深刻そうな面持ちで口を開く

「もし、……もしAがアタシをそういう対象として見てるんだったら、悪いけどもうアンタとは付き合えないよ」

付き合えない？

それって友だちとしてもってこと？

…やだ

そんなの絶対やだ

どうにかしてそんな気ないって思わせる方法は

「って、ちょっと言い過ぎかもしれないけ「ぷっ…アハハハッwwww」

「え？」

「もう、…っベク、笑わせないでよww
深刻な顔するから何話すのかと思えば、私がお前を好きだって？んなのあり得ねえっつーの(笑)
言っとくけど私の好きなタイプはベクとは真逆の人だからね」

「真逆？」

「そ。だから心配すんなって。
まあでも？ベクがどうしても私と恋に落ちたくないようだから、しょうがない。別れてあげる。
ただし、もしヤバいってなったときには私を頼りなね」

うん。こんだけやれば疑わないでしょ？

「…さすが親友」

ふっと目を細めて、ハイタッチをするために手の平を私に向ける

それは女としての手

たぶん、いや、絶対
男としてのその手に触れることはもう二度とないんだろうな

そう思いながら手を近づけパチンッと乾いた音がした

「へへっ」

「なに笑ってんの？」

「親友ってやっぱいいなあって思って」

心の底から“嬉しい”って感情を抑えられないようで、ベクが締まりのない顔で可愛らしく笑う

「はっ」

ほんと笑えるね

“好きとかあり得ない”
“真逆の人”

キミの傍にいたいが為にバカみたいに笑ってる自分が…
「ほんと笑える」