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始業式のときも周りの人が物珍しそうにこちらを見てきて居心地が悪く、いつもだったら寝てしまうのに目が冴えて全く眠くなかった
「さようなら」
帰りの挨拶をして誰よりも先に教室を出ようとすると、扉のところで誰かにぶつかった
「わ、ごめんなさい」
適当に謝って昇降口に行こうとするも鞄の紐を掴まれてつっかかる
「チェ・Aちゃん、だよね？」
「え？」
名前を呼ばれて顔を上げれば、それはそれは顔の良いイケメン君がニコニコしながら立っていた
あれ、確かこの人…
「俺のこと覚えてる？キム・ヒチョルって」
…そーだ、ベクの先輩で、たぶんだけど私らのこと言いふらした人！
「はい…」
「本当？良かった！それじゃーさ」
トンと私の後ろの扉に手を突いて、いわゆる壁ドンとかいうやつをしながら首を傾げ、私の目をじっと見た
「俺今日このあと予定ないんだけどさ、Aちゃん暇？もしよかったらどっか遊びに行かない？」
うわ、うわあ…
この明らかに自分がカッコいいことを分かっている上でのナンパにゾワッと鳥肌が立つ
つーか私とベクが付き合ってること知ってるのにそんなことするとか…
初対面から感じてたけど、この人、相当の遊び人だ
「えっと…」
どう断ろうかと視線を泳がして助けを求めるけど、みんなはただ興味津々に眺めているだけ
「私用事があるんで無理です」
とりあえずそう断ってみるものの、ヒチョル先輩はなかなかにしつこい
「そっか。じゃあ駅まで送ってくよ！」
「は？ちょっと、」
ガシッと腕を掴まれて連れて行かれる
あいにく下駄箱も私のクラスの反対側のところのようで、逃げ出したくても逃げられない
下駄箱を開けながら、どうしよう…と途方に暮れていたとき、
「浮気かこら」
その声の持ち主が背後からにゅっと腕を伸ばして、下駄箱に手を突いた
振り向く必要なんかない
声だけで分かるから
ベク…
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
