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そっか、私ら親友になったんだっけ
はは、手汗なんか気にしちゃって何を期待してんだか
「…………」
横からの視線をやけに感じるなと思って見たら
いつまで経っても何も言わない私を変に思ったのかベクが、お前頷けよ、とでも言うような目をしてた
「そうだよな？」
「お、おぉ…」
ミンソクさんの前というのもあって、とりあえずベクに合わせてそう答えたけど、胸の奥はモヤモヤする
確かに親友ってことになったけどさ
でも一応付き合ってる設定じゃん
だからせめて他人の前だけでは彼女として扱ってもらいたい
…って何言ってんだ私？？
「Aちゃん、もうすぐ戻った方が良いんじゃない？」
「戻る…あっ！」
すっかり忘れてたけど、そうだ。私仕事中だった
いくらお客さんがいない時間帯だとしても、こんなに立ち話してちゃいけないよな
「んじゃ私戻るんで。楽しんできて下さいね！
それとベクは二度と来んな」
「おお。じゃあ今度は学校の奴も連れてくわ」
「ベク！」
「わー怖い怖い(笑)ミンソギヒョン逃げよっ」
ベクに腕を引っ張られて店を出ていくミンソクさん
「頑張ってねAちゃん」
手を振られたからそれに返して私も仕事に戻った
BHside
100均を出て、ミンソギヒョンに前から一緒に見ようぜと誘われていた映画を見た
なんでもヒョンの親戚でその映画に携わった人がいて、券をくれたそうだ
“First Love”
題名からしてべったべたの恋愛ものだから男二人で見るのはどうかと思ったけど
内容はなかなか良くて、気を抜いたら危うく泣いてしまいそうだった
それからヒョン行きつけのカフェで一休み
ぼーっとしていると思い出してしまうのはAの姿
あんな可愛いのは卑怯だ
Aは背高い上に足もバカくそ長いから
厳つい肩が隠れるような服なら実は何でも着こなせる
それにもとの顔立ちもどちらかといえば良い方だし
サンタコスの短いワンピースで一丁前に化粧なんかもしちゃってたら誰も見ないわけがない
だから気に食わなかった
俺がいないところでそんな風に可愛くなってたのが
矛盾してるって分かってる
Aを可愛くして女の子にするのが俺の仕事だから褒めるべきだったし、これからもAと女友だちでいたいと思ってる
だけど、“可愛いね”って素直に言うことができなかった
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
