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街中に幸せを運ぶ曲が流れまくる今日はクリスマスイブ
白い恋人たちにとっては
寒空の下、互いの体温を抱き締めあって過ごす素敵な日
そんな中、見た目厚そうだけど本当はうっすーいサンタコスを着て接客をする私とミンソクさん
普通だったらこの日はベクと過ごすべきだったらしい
というのも昨日ぐらいにベクから電話があって、“イブ空いてる？”と聞かれたのだ
だけどそんな慣習があるとも知らずにシフトを入れていた私にベクはお怒りになる
『普通は空けとくだろ！』
『そんなの知らないし、てか私に普通を求めるのがそもそもおかしい』
『おま、はぁ…もう切るわ』
そういうわけでこの状況
思ってた通り、ミンソクさんとはまだ四日しか一緒に仕事してないのに仲良くなった
「え！ミンソクさんも二日間バイト入れてるんすか！？」
「そうだよ。そんな驚くこと？」
「彼女とデートとか、友だちとクリパとかは？」
「あー、ないない(笑)
そもそも彼女いないし、その友だちは彼女とデートだし。そう言うAちゃんは…って、これセクハラになる？」
「そもそも最初に聞いたの私ですし」
「まあ聞かないでおくよ」
今の感じ…たぶんいないと思ってる
逆にこんなおとこ女にも彼氏がいるって知ったらショックだろうな
つっても所詮仮だけどね、女装野郎だけどね
びゅーっと風が吹き込んできた
店長が集客集客！と騒いでこの建物の入り口を勝手に開けっ放しにしといているのだ
「寒っ」
と呟いたらミンソクさんが“おすそ分け”とシールが剥がされてないままの貼るカイロをくれた
じんわり暖かい
「ポケットに入れとく用に使ってたやつだけどいい？」
申しわけなさそうに言うミンソクさんが仏に見える
ありがたく頂戴してお腹にペタッと貼ったら体の芯から暖まっていった
つかさ店長、
金もそうだけどまず店員の体調を心配しろよ
こんな薄っぺらいサンタコスだったら風邪引くだろ
しかも男ならまだしも女はワンピースとかなおさら！
どうせ集客狙ってやったんだろうけどさ、少なくとも私じゃ意味ないからな
店の前通る人たちだってさっきからこちらをイタいなって顔でガン見してくるし
クソかよ店長…
あぁ腹立つからもう一回
クソかよ店長！！
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
