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『せっかく可愛い恰好してるんだし、メイクと髪の毛も可愛くしてあげる』
と、ベクにあれこれいじられた結果
この髪の短さでよくアレンジできたなと思うほど手の込んだ髪型と、メイクが施された
「じゃ、外出ましょ」
ベクが開くのボタンを押したら、外の光が射し込んでくる
眩しいと思うくらいだから、この個室は暗かったようだ
「うわっ外寒っ」
惜しげもなく出した、男子らしからぬ白くて柔そうな足をガクガク震わせる
「タイツ持ってくればよかったじゃん」
「家出る直前まで覚えてたんだけど、戸締まり確認してたら忘れた」
「男子ってズボンだから寒いとかないもんね」
「ああ。だから最近の女子高生マジ尊敬するわ」
あ、今素で喋った
やべ、って顔をするベク
すれ違った人がびっくりして振り返るのを
二人して顔を見合わせて笑った
初めに向かったのはゴーカート
子どもに人気なのか、親子連れが多くて前後左右囲まれた
視線をものすごく感じてちらっと見れば
前のお母さんが抱っこしている赤ちゃんと目が合った
もちもちぷよぷよのほっぺたを上げてニコッと赤ちゃんは笑う
ノックアウト！
「べ、ベク！あの子超やべーよ」
興奮しながら下を見て携帯をいじっているベクに声をかける
「どの子？」
ベクが顔を上げると赤ちゃんは笑うのを止めてぷいっと横を向いた
「いやww何でもないわwwww」
「あ、そう」
また下を向いたベク、そしてニコッと笑う赤ちゃん
この赤ちゃん好きだわ(笑)
三十分くらい待ってようやく順番が回ってきた
シートは思ってたよりも近くて、肘と肘が当たるくらい
運転席にはベクが座り、私は助手席で優雅に冷たい風を感じるつもりだったのだが…
「ちょっ、ぶつかるぶつかる(汗)！！」
ベクの運転の下手くそさに身の危険を感じてそれどころじゃない
「もっと右行けよ」
左に寄りすぎるから横から手を伸ばしてハンドルを操作する
その拍子にベクは肘をぶつけたのか腕を擦ってこちらを睨んでくる
「危ないじゃないのバカ」
「お前、仮にも運転席に座ってんだから余所見すんなアホ！」
と言っているそばから私が余所見をしてコーンを蹴ってしまった
「ぷーっww」
「笑うな！」
今度乗るときは運転免許証を取ってからにしよう
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
