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店内はわりかしギュウギュウで、どうせはぐれるだろうなと思ったからベクに声をかけた
「じゃあ私外で待ってる」
「ダメ。Aがいないと買えないから」
「は？」
みやげくらい自分で買えんだろ
小首を傾げる私を気にせず、ベクは私の手を握って中に入ろうとする
「こうすれば離れない」
にししっと笑ったベク
バッコンバッコン
やっぱり例の病は発病した
いろんな商品が並んでいる中、私たちが見ているのは服のコーナーだ
「あ、これいいんじゃね」
パンダオくんの顔がドーンとプリントされたセーターとフワフワしたスカート、もこもこ生地の暖かそうなパーカーを手にしたベクはそれを私に当てて満足そうに笑う
おいおい、これはどういうことだ？
「みやげ買うんじゃねーの？」
「もちろんこれもみやげだけど」
そう言っておきながら服だけしか買わないで、店を出てしまった
何を考えてんのか全然分かんね
だけどベクにはベクなりの考えがあるのかと思って、後をついて行き
次にどこに行くかと思えば、今度は反対側の店
そしてまた服コーナーの方に行って、さっきの色違いを買おうとしてるのだ
これにはさすがに口を出さずにはいられなかった
「ちょっとベク、さっきと同じやつじゃん！」
「いーんだよ。元々これが目当てだったんだから」
私が止めるのも聞かず、会計に向かってしまったベク
「彼女さんに買ってあげるんですか？」
店員さんが微笑ましい光景でも見るかのように目を細める
「いや、そん
「はい。誕生日なんですよ」
なっ、なんて嘘吐きやがるんだ！
私の誕生日はもうとっくに終わっとるわいっ！
「素敵な彼氏さんですね」
「ははっありがとうございます(^^)」
「……」
まったく勝手なことを言って…
同じのを二着も買ってどうすんだこのバカは
店を出た後もベクは私の手を離さないまま
「A、トイレ行くぞ」
「いや、私はいいや」
「お前も行くの！」
「はぁ！？一人で用も足せないのかよ」
「これは二人じゃなきゃ意味ねーんだよ。だから行くぞ」
今日のベクはいつにも増して意味が分からない
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作者名：ウサン | 作成日時：2016年8月8日 8時
