【ヒプマイ】左馬刻の彼女はゲーマー

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セーブする前にゲームを強制終了したい感じ



なんなら全データ削除してまっさらな状態まで戻りたい衝動に駆られる




でも残念なことに現実だから、自分がやり直したいところには戻ってくれない
せめてチェックポイントまで巻き戻ってほしい


どこがポイントかって？そりゃ勿論イケブクロ駅に決まっている。


…あのまま一郎の言葉にうなずいて一緒に帰路を歩いていれば、私は三郎君と延長戦を楽しみながら、一郎と次郎君がアニメについて語っているのに聞き耳をたてて…そんな二人にむすっとしながら視線をちらっと向ける三郎くんを拝めただろうに


そうしたら、…こんなキレまくってる彼氏との何が起こるか分からない
チキチキ地雷をよけろ帰宅ゲームは始まらなかっただろう


こんなさ、突然吹き上げる冷たい風にも喧嘩打っている奴の地雷を踏まないで歩くとか無理でしょう
腹すかせたライオン１０頭いる檻に薄着で放り込まれてんのと一緒なんだけど
餌をしっかり持って入っていったところで私も一緒にエサ扱いされるだけなんだが



３歩前を歩く彼の背中を見つめるが、…寒いのってくらい極限まで肩上げてる
アロハシャツだからじゃないか…？実は寒いのか
いや、普通に考えて怒ってるんだけどさ
なんて見ていたら突然目を吊り上げた顔がドアップで映った
左馬刻が振り返って私にガン飛ばし始めたのだ




「な、なに」


「てめぇこそなんだ。視線がうぜぇ」



ちっと舌打ちを落とすとまたぐんぐん一人で先を歩き始めてしまう


…まぁこればっかりは、左馬刻が怒ってしょうがないというか…様子をうかがうのにも視線がうざいといわれてしまったらもうどうしようもない
ハァっと小さく息をこぼすとポケットにしまっていたスマホが震えた


左馬刻に置いていかれないように歩きながら、スマホの通知を見つめた




「…いちろう？」




内容は無事に駅まで着いたのか、家までちゃんと警戒しながら帰るんだぞっという彼らしい優しさが溢れたメッセージだった。


そのメッセのすぐ下には気を付けろよって書いてあるアニメのスタンプ
…私が勧めたアニメのキャラだった



ありがとう、大丈夫だよ。
ちゃんと気を引き締めて帰るね




っという言葉とともに彼がはまっている別アニメのスタンプを返した


気を引き締めないといつ首掴まれるか分かったもんじゃないから



「一郎だぁ…？」


「あ…」


すいません一郎先生、さっそく警戒を怠りました。

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