mission 19 ページ21
C.Cには娘がいるらしかった。
だが利用されることを恐れてか、はたまたギャングの世界に巻き込みたくはないのか、組織の誰も娘の顔を知らない。
俺達はとある情報屋から、唯一“A”という名前だけを掴んだ。
突如俺達の前に現れた少女がAと名乗ったときは、まさか、と思った。
なんせタイミングが良すぎる。
C.Cが娘を使い、俺達に何らかの攻撃を仕掛けてきたのかとさえ思った。
だが……彼女を見る限り、その線は薄そうだ。
記憶がないのでは、どうすることも出来ないだろう。
それにまだ、彼女が奴の娘であると決まったわけではない。
同姓同名の可能性だって十分にあるのだ。
俺はそれを確かめるため、奴の本拠地であるローマにひとり出向いたのである。
「……ここか」
列車で1時間半かけローマに到着し、俺はとあるハイスクールの前に来ていた。
というのも、C.Cは表向きはここの理事長なのである。
……間違っても教育機関のトップがギャングというのも、考えものだな。
だが、それならば娘もこの学校に通っている筈だ。
娘を囮に、なんてそんなシャバい手は使いたくはないが、状況が状況だ。
俺もギャングとして、腹を括らねばならない。
最終手段として、娘の情報を手に入れておくに越したことはなかった。
幸い、ここにはネアポリスの学校から移動してきた、顔見知りの教師がいる。
まずは彼に話を聞こうと門をくぐった、その時だった。
ふいに、どこからか視線を感じる。
見ると、並木道のベンチにいた女学生数名が、何やらヒソヒソと小声で話しながらこちらを見ている。
目が合うと、どういうわけか彼女たちはこちらに駆けてきた。
「あっ、あの!もしかして……ブチャラティさんですか?」
ッ!?
どうして俺の名前を……
「ああ、そうだが……君たちは?」
俺は驚きを悟られないよう、普段用の笑顔で問うた。
彼女たちはきゃあきゃあと学生らしくはしゃいでいる。
「すみません、いきなり。前に1度、写真で見かけたことがあって……つい、声をかけちゃいました」
そう言う彼女の後ろからは、「超イケメンじゃんやばい」「実際に見るとマジかっこいいな」などという声がちらほら聞こえる。
どうやら、彼女たちは俺の顔を知っていたらしい。
「写真?」
「はい。友達が……あ、Aっていうんですけど、その子」
突然、彼女の口から“A”という名前が飛び出した。
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あや(プロフ) - こんばんは、とてもおもしろく、キャラクターの特徴をつかんでおり更新楽しみです!よろしくお願いいたします(^-^) (2020年3月1日 2時) (レス) id: 8f153ba0bd (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - あかさん» コメント嬉しいです〜ありがとうございます!更新頑張ります!(^ω^)b (2019年3月6日 10時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
あか - 面白いです(^ω^)続き楽しみです!! (2019年3月6日 4時) (レス) id: 708663298a (このIDを非表示/違反報告)
白庵(プロフ) - ライリーさん» ありがとうございます!!引き続き読んでいただけたら嬉しいです! (2019年2月16日 14時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
ライリー - すごく面白くて続きが気になっちゃいます!頑張ってください! (2019年2月15日 22時) (レス) id: 3931cd0f9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白庵 | 作成日時:2019年2月11日 18時