第9話 恐怖 ページ10
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「え!?A保健室!?」
授業が始まる15分前。移動でもないのにAの姿がないのが不思議で、Aの友達に聞くと返ってきた予想外の答え。
「お昼始まったときぐらいから元気なくてさ、心配だよね」
「うっそ、なんで俺に言わな…」
そっか。Aの中で俺達はもう別れたことになってるんだ。
じゃあこういうのもわざわざ、俺には言う必要はないって?
「っ…何それ、やっぱりおかしいよ」
別れたことになってたって、俺がAのことこんなに心配なのは何も変わらないのに。
「────…でも、Aは違うの…?」
ふと口から出たついて疑問。
でもそれが背筋をゾッとするほど嫌で、俺は急いで頭の中から追い出した。
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「失礼します」
保健室のドアを静かに開ける。授業開始まで後10分、急いでAに会いにきた。
先生の様子はなく、一つだけベットがカーテンで覆われている。
「…A?」
ゆっくりとカーテンの中を覗くと、頬を赤くして少し苦しそうに眠るAの姿が。
「あつ……」
おでこに触れると少し熱い。俺はゆっくりとベットに腰掛ける。
「また傘ささなかったの…?ダメだって言ってるのに…」
確か昨日は弱めの雨が降ってた。Aは『このくらいなら大丈夫!』と言っていつも傘をささない。
その度に俺がいつも自分の傘にAを入れてた。手を繋げば自然と一つの傘に収まるし。
でも昨日は一緒に帰れなかったから。
「…ダメだよ。すぐ風邪引くくせに」
Aの前髪を横に分ける。口にしようとしたキスをなんとなく頬にした。
今はまだ、口にしちゃいけない気がして。
「A…Aちゃん…Aさん…」
後半の2つはしっくり来ない。手の甲で触れるとほっぺたは熱かった。苦しそうなAが心配でたまらない。
「早く前にみたいにキスさせてよ」
そっと赤い頬に触れる。そのとき保健室のドアが開いた。
「……先生、A大丈夫?」
「あら及川くん。大丈夫、微熱よ」
「そっか…」
「ていうかもう授業始まるわよ?あなたはクラスへ戻りなさい。Aは親が迎えに来るから」
先生に保健室を追い出され、俺は重い足取りで授業へ向かう。
「………俺達、戻れるよね?」
そんな恐怖が俺を包んだ。
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白鈴(プロフ) - 利人さん» 及川〜(笑) ありがとうございます 嬉しいです(o^^o)これからもがんばります!! (2017年3月24日 1時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
利人 - あれ…及川………カッコいい… すごく感動しました!これからも頑張ってください! (2017年2月17日 18時) (レス) id: e5d1b4c8ae (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 小悪魔たんさん» わ〜ほんとですか( ; ; )そう言っていただけて光栄です!とても嬉しいコメント感激してます!こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!! (2017年2月6日 22時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔たん(プロフ) - なんか、もう!超超超よかったです!!私、こんなに目が離せなくなったの初めてです!もう読んでてドキドキしました!こんな風にコメント書いたのも初めてです!こんなにいい小説をありがとうございました!!!! (2017年2月4日 15時) (レス) id: 5c5226b33f (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - pipiさん» 返信遅れてしまい申し訳ありません!とても嬉しいコメントに、この小説をかいて良かったなと思いました( ; ; )テッシュ郵送するので住所教えてください(こわい) 読んでくださりありがとうございました! (2016年12月7日 20時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月10日 21時