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第8話 『好きだよ』 ページ9






あの日から徹は『許して!』と何回も謝ってくれる。でも私の”1番好きな食べ物”は思い出せないようで、いつも分かりやすく目を泳がせる。




「……お願いだから思い出してよ」









──────でも。




でももし徹が『好きだよ』って一言言ってくれたら、私は意地なんて張らない。



告白のときしか聞いてないこの言葉をもう一回徹が言ってくれたら…───。









「…………はあ…」




徹のお昼の誘いを断ってトイレに行った帰り、私は何回目か分からない溜息をつく。



沈んだ気持ちのまま教室が近付いてきたとき、廊下に後輩らしい女の子達と徹の姿が見えた。




「うわ…久々…」




別に驚かない。私達が付き合う前に戻っただけ。ただの懐かしい光景だ。



私は徹達の前を通らないよう手前の入口から教室へ入る。その際かすかに徹達の会話が聞こえてきた。





『__好きじゃないんですか?』


『好きだよ』


『じゃあなんで…_』














「…………え?」




一瞬、呼吸が止まった。思考が停止して周りの音が聞こえなくなる。




「──────今なんて……」














” もし徹が一言『好きだよ』って言ってくれたら、私は──── ”









でもまだ告白のときしか聞いてないその言葉。それをなんで、その子に言ってるの…?




ドクドクと妙に聞こえる自分の鼓動。




何も冷静に考えられないぐらいの苦しさが私の中に押し寄せる。




「Aどうするー?売店行く?」




明るく話しかけてくる友達には全くもって返事をすることができなかった。




…いや待って。いつからその子のことが好きなの?




もしかして揚げ出し豆腐ってその子の好物?




嫌いな食べ物はブドウだったりして…?





「─────…そっか」





気のせいじゃない。ほんとに徹の中で私は誰に負けてたんだ。




「はは…別れて正解じゃん。




…徹のために。 」





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白鈴(プロフ) - 利人さん» 及川〜(笑) ありがとうございます 嬉しいです(o^^o)これからもがんばります!! (2017年3月24日 1時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
利人 - あれ…及川………カッコいい… すごく感動しました!これからも頑張ってください! (2017年2月17日 18時) (レス) id: e5d1b4c8ae (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 小悪魔たんさん» わ〜ほんとですか( ; ; )そう言っていただけて光栄です!とても嬉しいコメント感激してます!こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!! (2017年2月6日 22時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔たん(プロフ) - なんか、もう!超超超よかったです!!私、こんなに目が離せなくなったの初めてです!もう読んでてドキドキしました!こんな風にコメント書いたのも初めてです!こんなにいい小説をありがとうございました!!!! (2017年2月4日 15時) (レス) id: 5c5226b33f (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - pipiさん» 返信遅れてしまい申し訳ありません!とても嬉しいコメントに、この小説をかいて良かったなと思いました( ; ; )テッシュ郵送するので住所教えてください(こわい) 読んでくださりありがとうございました! (2016年12月7日 20時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月10日 21時

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