第4話 本命 ページ5
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「あー思い出せない!Aの1番好きな食べ物!」
「さっきからうるせぇ!黙って着替えろ!」
部活終了後。部室でも頭を悩ませる俺に岩ちゃんからの怒号が飛ぶ。
「ひどいよ岩ちゃん…優しく慰めてくれても良いんじゃないの」
「一生落ち込んでろ」
Aが1番好きな食べ物。それさえ思い出せれば今の現状を変えられる気がする。
「そういえば、学年中で及川先輩がA先輩にふられ……別れたって噂になってますけど、本当ですか?」
「出来た後輩」
「あはは…そうなんだ。俺達…別れたのかな…そうなのかな…」
あはははと声だけで笑う俺に顔が引きつる金田一。他の奴らも「なんだ?」とざわつき始める。
「ニヤけてんじゃねぇ及川」
「え!?今のにやけてるように見えた!?ていうか岩ちゃんさっきから俺のこと見てないくせにさ!」
ずっと真顔でシューズを磨いてる。ひどいよ岩ちゃん、俺がこんなに落ち込んでるのに。
「はあ…ていうか、元カノ達の好きな食べ物なんて興味なかったから、もともと知らない筈なんだけどなあ…」
「自慢か」
「死ね」
「なんでだよ!違うって!」
マッキー、松っつんから嫉妬をもらう。岩ちゃんは舌打ちするからキャプテン肩身が狭い。
もちろん元カノというのはAの前に付き合ってた人達だ。俺はAに『本気で好きになったのはAだけだよ』なーんてくさいセリフを本音で言ちゃう感じ。
だからそもそも、Aの前の彼女達の好物なんて知らない。覚えてないんじゃなくて、知らない。
「なのに何だよ、揚げ出し豆腐って…」
頭を抱えて深い溜息をつく。チーズinハンバーグとシュークリームだってそうだ。
「あ?お前揚げ出し豆腐知らねぇのか?あんな旨いもん知らないとか、ほんとクソ川だな」
「知ってるよ揚げ出し豆腐ぐら……あー!!!」
うるせーと岩ちゃんにゲンコツされる。そうだ思い出した。岩ちゃんだ。俺を睨むこの幼馴染。
「岩ちゃんの好きな食べ物、揚げ出し豆腐!?」
「おう。なんだいきなり」
「もう!勘弁してよ岩ちゃん!」
「何がだよ!」
こうなると大体予想はつく。同学年の松っつんとマッキーに確認をとると、案の定チーズinハンバーグとシュークリームは彼らの好物。
「うわあ!チームメイトの好きな食べ物まで覚えてるなんて、俺って良いキャプテン!」
「おめーのプラス思考がこわいわ」
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白鈴(プロフ) - 利人さん» 及川〜(笑) ありがとうございます 嬉しいです(o^^o)これからもがんばります!! (2017年3月24日 1時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
利人 - あれ…及川………カッコいい… すごく感動しました!これからも頑張ってください! (2017年2月17日 18時) (レス) id: e5d1b4c8ae (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 小悪魔たんさん» わ〜ほんとですか( ; ; )そう言っていただけて光栄です!とても嬉しいコメント感激してます!こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!! (2017年2月6日 22時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔たん(プロフ) - なんか、もう!超超超よかったです!!私、こんなに目が離せなくなったの初めてです!もう読んでてドキドキしました!こんな風にコメント書いたのも初めてです!こんなにいい小説をありがとうございました!!!! (2017年2月4日 15時) (レス) id: 5c5226b33f (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - pipiさん» 返信遅れてしまい申し訳ありません!とても嬉しいコメントに、この小説をかいて良かったなと思いました( ; ; )テッシュ郵送するので住所教えてください(こわい) 読んでくださりありがとうございました! (2016年12月7日 20時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月10日 21時