第25話 好き ページ26
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徹と仲直り出来た次の日。一緒に帰る約束をした私は体育館に向かう。
「──お前が気持ち伝えねぇから、Aが不安になんだろ」
「…え?」
まさに体育館へ入ろうとした時。中から聞こえきた自分の名前に、反射的に扉の前で足を止めた。
「イメージぽんぽん言いそうなのにな」
「告白の時しか言ってないとか、ありえねぇ」
「えー?そういうもん?」
同学年の花巻と松川の声が続いて、徹は明るく答えた。少し開いた扉の隙間からバレー部が後片付けをしている姿が見える。
「つか、なんで言わねぇの?お前Aのこと大好きなくせに」
さらっと言う岩泉の言葉に少し照れる。徹はいつも通り爽やかに微笑んだ。
「バレーと一緒だよ」
「……あ?」
「え?」と私の声が岩泉と重なる。
「例えばさ、バレーするの好きって言ってるやつが、練習してなかったり下手くそだったら信憑性ないだろ?」
「…まあな。」
そういって徹は大人びた顔で微笑んだ。
「───だから俺は、言葉で好きって言うよりも、それを行動で示したいんだよ」
「……っ……」
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『───いつもAが好きそうな映画選んでるから』
…伝わってた。
『────お昼一緒に食べない?』
徹はいつも優しくて、
『───熱、大丈夫?つらくない?』
直接”好き”とは言わないけど、徹の行動は全部愛が溢れるものだった。
「…なんで、素直に受け止めなかったかなぁ」
ははっとバカだった自分を笑う。疑ったりしてごめんね徹。
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私は体育館の扉に手を掛けた。
「まーでも今回ので反省したから、これからはちゃんと言葉でも伝えるよ」
楽しそうに笑う徹。
「─────徹!」
そんな彼氏の名前を叫んだ。
「A!?」
「────私、徹のこと大好き!」
体育館に響く私の告白。皆が頬をピンクに染めているのがわかる。
そんな中、どんどん私に近づいてくる徹。こちらまで来て力強く私を抱きしめた。
「俺だってAのこと大好きだよ。もういきなりどうしたの…心臓に悪い…」
もう一度腕に力を込めた徹を、私もしっかり抱きしめ返した。
「────ありがとね、徹」
言葉じゃなくても、
ずっと私に”好き”って伝えてくれて。
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白鈴(プロフ) - 利人さん» 及川〜(笑) ありがとうございます 嬉しいです(o^^o)これからもがんばります!! (2017年3月24日 1時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
利人 - あれ…及川………カッコいい… すごく感動しました!これからも頑張ってください! (2017年2月17日 18時) (レス) id: e5d1b4c8ae (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 小悪魔たんさん» わ〜ほんとですか( ; ; )そう言っていただけて光栄です!とても嬉しいコメント感激してます!こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!! (2017年2月6日 22時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔たん(プロフ) - なんか、もう!超超超よかったです!!私、こんなに目が離せなくなったの初めてです!もう読んでてドキドキしました!こんな風にコメント書いたのも初めてです!こんなにいい小説をありがとうございました!!!! (2017年2月4日 15時) (レス) id: 5c5226b33f (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - pipiさん» 返信遅れてしまい申し訳ありません!とても嬉しいコメントに、この小説をかいて良かったなと思いました( ; ; )テッシュ郵送するので住所教えてください(こわい) 読んでくださりありがとうございました! (2016年12月7日 20時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月10日 21時