第24話 もう一度 ページ25
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「これだけは言っておきたかった。俺の気持ち全然伝えてなかったからさ…」
真剣な表情を浮かべる徹を私は唖然と見つめる。
「え?だ、だって…後輩は?」
「後輩?」
「?」と私を見つめる徹。
「後輩に好きな子がいるんでしょ…?」
まだ少し躊躇する言葉。ドキドキと胸を鳴らしながら、私は徹の返事を待つ。
「え?そんなのいないよ?」
「────…はい!?」
驚く私に徹も驚く。じゃああのとき聞いた『好き』ってなんだったの?
「よく分かんないけど、俺が好きなのはAだけ。今も昔も変わらないよ」
「徹………」
じんと胸のあたりが暖かくなる。我慢していた涙が私の目からこぼれ落ちた。
「っ…ごめん!Aを攻めてるとかじゃなくてさ、ただ俺の気持ち伝えておきたかったって、それだ…っ」
焦る徹に抱きつく。「えっ?」と驚く彼の胸にすがるように顔を埋めた。
「ごめん…っ」
ポロポロと落ちる涙が止められない。でも徹はそっと抱きしめ返してくれた。
「いいよ」
なんて優しく言うから、もう一度徹のシャツを握りしめる。
「私、徹のこと嫌いじゃない…!」
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「…………え?」
「ごめんなさい…!嘘だったなんて信じてもらえるか分からないけど、私はずっと徹のこと大す…っ」
突然、そりゃもう力強く両肩を掴まれて徹が私を見つめる。こんな時にも思うんだ、やっぱり徹はかっこいい。
「………A。もう一回、聞いていい?」
私を見つめながら徹が静かにそう言った。私も徹を見つめ返して頷く。
「Aは、俺のこと好き?」
ドキと胸が高鳴る。ああそういえば、私も徹にちゃんと『好き』なんて言うのは久しぶりだった。
「好き。徹のことがずっと大好き」
そういって微笑むと徹は泣きそうな顔をした。
「俺たち両想いだね」
「うん、そうだね」
「でも付き合ってないんだ?」
「ほんとだ」
ははっと嬉しそうに笑う徹。
くっ付いていた身体が離れて、徹の両手が私の手を握った。
「A、俺と付き合ってください」
徹の真剣な顔はあの時と全く一緒だった。私はそんな徹に微笑みかける。
「──────うん」
少し笑い合った後、私達の唇が短く触れた。
「良かったあああもう別れるなんて言わないでよ!大嫌いはこたえたんだから」
「ごめんなさい…」
「…ウン大好き」
「私も」
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白鈴(プロフ) - 利人さん» 及川〜(笑) ありがとうございます 嬉しいです(o^^o)これからもがんばります!! (2017年3月24日 1時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
利人 - あれ…及川………カッコいい… すごく感動しました!これからも頑張ってください! (2017年2月17日 18時) (レス) id: e5d1b4c8ae (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 小悪魔たんさん» わ〜ほんとですか( ; ; )そう言っていただけて光栄です!とても嬉しいコメント感激してます!こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!! (2017年2月6日 22時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔たん(プロフ) - なんか、もう!超超超よかったです!!私、こんなに目が離せなくなったの初めてです!もう読んでてドキドキしました!こんな風にコメント書いたのも初めてです!こんなにいい小説をありがとうございました!!!! (2017年2月4日 15時) (レス) id: 5c5226b33f (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - pipiさん» 返信遅れてしまい申し訳ありません!とても嬉しいコメントに、この小説をかいて良かったなと思いました( ; ; )テッシュ郵送するので住所教えてください(こわい) 読んでくださりありがとうございました! (2016年12月7日 20時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月10日 21時