第13話 なみだ ページ14
・
あまり徹と目を合わせずに、出来るだけ言葉を交わさずに私は屋上まで来た。
「─────…私達、ちゃんと別れよ」
自分が今どんな表情をしているのかわからない。でもちゃんと徹の目を見て言った。
結構、頑張った方じゃない…?
「…っえ!?ちょっと待って!好きな食べ物なら絶対思い出すから…っ」
「いい」
だって、徹は悪くないよ。
新しく好きな子が出来たなら、無意識にでも私のことは忘れていくのが当たり前。
徹にとってはもう無理に思い出すことでもない。
それと、これは私のワガママだけど…
”喧嘩別れ”っていう私に優しい形で、徹とサヨナラさせてほしい。
「…っ…Aは俺のこと、もう好きじゃないの!?」
「え─────?」
予想外の徹の言葉に一瞬思考が止まった。と共に胸がきつく締め付けられる。
” 徹のことは今でもずっと大好き。”
「………っ…」
でもこれを言ったら徹はどうするの?
”他に好きな人が出来た”って私に言える?
徹からの『好きだよ』って言葉は聞けないのに…────
私は徹に、好きって言うの?
・
「教えて…!」
目に映る徹の真剣な顔。バレーをやってるときと似てる、私の大好きな徹の表情。
そんな徹にまた胸が締め付けられた。ダメだって分かってるのに熱くなってくる目頭。
「……A?」
「嫌い」
やっと絞り出した言葉。
声が少し震えてしまう。私は目を固く閉じた。
「……………え?」
「徹なんて大っ嫌い!!!」
…でもダメだった、やっぱりガマン出来ない。
私の目からは涙が落ちる。
いけない、と涙を拭ってその場から逃げる。最後に見えた徹の表情は涙でよくわからなかった。
「……言った…よく頑張った私…っ」
さっきから全然止まらない涙を制服の袖でふき取る。好きな人に『嫌い』っていうのはこんなに苦しいんだね。
───でも、これで良かったんでしょ…?
自分の中で問いかけても、答えは出ないけど。
・
504人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白鈴(プロフ) - 利人さん» 及川〜(笑) ありがとうございます 嬉しいです(o^^o)これからもがんばります!! (2017年3月24日 1時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
利人 - あれ…及川………カッコいい… すごく感動しました!これからも頑張ってください! (2017年2月17日 18時) (レス) id: e5d1b4c8ae (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 小悪魔たんさん» わ〜ほんとですか( ; ; )そう言っていただけて光栄です!とても嬉しいコメント感激してます!こちらこそ、読んでくださりありがとうございました!! (2017年2月6日 22時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔たん(プロフ) - なんか、もう!超超超よかったです!!私、こんなに目が離せなくなったの初めてです!もう読んでてドキドキしました!こんな風にコメント書いたのも初めてです!こんなにいい小説をありがとうございました!!!! (2017年2月4日 15時) (レス) id: 5c5226b33f (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - pipiさん» 返信遅れてしまい申し訳ありません!とても嬉しいコメントに、この小説をかいて良かったなと思いました( ; ; )テッシュ郵送するので住所教えてください(こわい) 読んでくださりありがとうございました! (2016年12月7日 20時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月10日 21時