口説きます20 ページ20
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「あ。黒尾先輩もアイス食べます?」
「え?あ、いや、…うん」
自分でも節操のないことを発したゆえに、Aちゃんに申し訳なくて1回深く反省する。
食堂のおばちゃんのところまで行き、食券を渡すとバニラのソフトクリームがカップに入って出てきた。
「スプーンもう一個ください」
ソフトクリーム片手に微笑みながらそう言ったAちゃんの横顔があまりにもかわいいのでニヤける。でも本音を言うと、スプーン1本が良かったデス。
適当に近くの空いてる席に座って向かい合う。
「わたしちょっとでいいので黒尾先輩食べたいぶんだけ食べてください」
「…Aちゃんなんかそれ悪い男にだまされそう」
「え?」
「ううん、先食べな」
ソフトクリームをスプーンですくって一口。唇は冷たさからか赤くなった。「おいしい」とかすかに言ったAちゃんが俺を見る。
襲いたい、とか思ったらダメだよねわかってるウン。
「おいしい?よく食べるの?」
「おいしいです!よく食べますよ。特にしょっぱいもの食べた後とか」
「ああカレーとかラーメンだ」
「……………」
「ごめんって」
すすめられて一口。想像通りのソフトクリームの味は当然うまい。
ついAちゃんの真似して「おいしい」と小さく言うと、Aちゃんは照れたよう笑った。危ない、流れで『好き』って言うところだ。
「次なんの授業?」
「わたし現代文です。黒尾先輩は?」
「俺はね、化学。でもAちゃんと話せたから頑張れる」
「…黒尾先輩。」
「どうした?」
「あの、言い忘れてたんですけど、黒尾先輩がわたしの教室に来て以来、大袈裟ってほどでもないですけどたまに『黒尾先輩と付き合ってるの?』て聞かれて」
「おお」
「当然ううんって言うんですけど、今もこんなふうに話してたらまた勘違いされて、黒尾先輩困りませんか?」
Aちゃんはソフトクリームを見ていた。俺はAちゃんの前髪とかまつ毛を見ていた。
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白鈴(プロフ) - 苺飴さん» 読んでくださりありがとうございます(o^^o) 嬉しいコメントをいただけて幸せです。更新がんばります! (2017年2月18日 21時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
苺飴(プロフ) - 白鈴さん» いえいえデス。先程読みました。とっても面白いですね。夢主の反応とか(笑)。これからも楽しみにしてます。頑張ってください! (2017年2月18日 21時) (レス) id: c74503d232 (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 苺飴さん» 今日1笑いました(自分に) とっても恥ずかしい気持ちです。教えてくださりありがとうございました! (2017年2月18日 21時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
苺飴(プロフ) - あの、タイトルのハイキューがハンキューになってますが… (2017年2月18日 21時) (レス) id: c74503d232 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2017年2月17日 22時