口説きます１３ ページ13
・
部活開始までは後１０分ちょっと。私の返事待ちで、教室内は静かになった。
まっすぐ私を見つめる黒尾先輩を、夕日が半分オレンジ色に照らす。
「だめ？」
「だめっていうか…」
だめではない、けどいいと言ってはいけない。
そんな観念じみたものは、黒尾先輩がモテるから生まれたわけで。もし黒尾先輩がモテなければ、、
モテなければ？
「ん、まあゆっくり考えていいよ。決まったらLINEしてね」
今までは多少強引であった黒尾先輩が、今回は引き気味で、私は自分で判断を下さないといけないらしい。
黒尾先輩が廊下のほうを見たから、私はその横顔を見た。部活中だったようには見えない清々しさで、でも机の上に乗った腕は男らしい。
「黒尾先輩は、フレンドリーなんですか？」
「え？」
余所見をしていた視線が私に戻ってくる。座って少し猫背気味でも黒尾先輩の視線はやっぱり上だ。
夕日は沈みかけて、少し薄暗くなった教室。電気つけなきゃ、と関係ないことを思った。
「黒尾先輩とこんなに話すようになるとは思わなかったんです」
「ちょっとー、俺と関わりたくなかった？」
「だって、女子の嫉妬はこわいですよ…」
目線を下げると、ふふと息を漏らすように笑った黒尾先輩がわたしの頭に手を置いた。
「そうだねー」
優しい手つきがわたしの髪をゆらす。腕から鎖骨、そして優しく笑う口を見て、瞳が 光るオレンジの線で半分輪郭を描いてるのを見たとき、
今さらだけど、いつもより近い黒尾先輩との距離を自覚した。
「いいよ。Aちゃんがこわくなくなるまで待つね。実際俺はそこまで女子に執着されるほどモテないってこともわかって」
「待つって…なんで、」
「なんでだろーね」
部活開始まで５分となり、黒尾先輩は席を立った。「じゃあLINE待ってる」と頭上から声がして、何かの名残のような片手が、私の机をスッとさすって離れようとする。
から、反射神経じゃないかな。落ちそうなものを咄嗟に掴む感じ。
とりあえず、呼び止めたかったから手を掴んだ。
「一緒に行きます、黒尾先輩」
黒尾先輩の手は思ったり大きくて温かくて、ピクッと動いた指が、私の手の平をさすった。
そこで初めて、異性をこんな風に呼び止めちゃいけないのでは と思い出し、謝罪とともに手を離そうとした。けど、
「うん、行こ」
黒尾先輩の手は、私の手を軽く握り返す。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白鈴(プロフ) - 苺飴さん» 読んでくださりありがとうございます(o^^o) 嬉しいコメントをいただけて幸せです。更新がんばります！ (2017年2月18日 21時) (
レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
苺飴(プロフ) - 白鈴さん» いえいえデス。先程読みました。とっても面白いですね。夢主の反応とか(笑)。これからも楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年2月18日 21時) (レス) id: c74503d232 (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 苺飴さん» 今日１笑いました(自分に) とっても恥ずかしい気持ちです。教えてくださりありがとうございました！ (2017年2月18日 21時) (レス) id: 63f0029977 (このIDを非表示/違反報告)
苺飴(プロフ) - あの、タイトルのハイキューがハンキューになってますが… (2017年2月18日 21時) (レス) id: c74503d232 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白鈴 | 作成日時：2017年2月17日 22時
