【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、48人目 ページ48

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私の行動の遅さに痺れを切らしたのだろう。
俯く私の頬に彼の手が触れた。

咄嗟に強く目を閉じると
そのまま顔を上げられる感覚。


私は、何をされてしまうのだろう。


少し不安を感じたけれど

結果的にはただ
耳元で声が聞こえただけだった。



「ここは遊郭でアンタは今、遊女だ
遊女は客(俺)をに身を売るのが仕事
どうせ神威やそれこそ銀時に
同じ事をやって来たんだろう?

何を今更躊躇う必要がある?

…さァ、目を開(ひら)け」



それでも、私が行動を起こすのには
彼の言葉は十分な材料すぎた。

彼が離れていく感覚を感じて
私はゆっくりと目を開く。
彼が映ると思っていたけれど

それより先に、私の瞳に手が当てられた。



「え?」


「ククッ…どうやら窓から
無粋な野良犬が入ってきたらしい
おかしいねェ…ここは三階の筈だが」


「犬、しかも野良犬ってのは頭が良くてなァ
それなりの台や屋根の足場さえあれば
三階くらい簡単に登れちまうんですぜィ?」



その声に、口調に私の目を
覆う手の正体がわかった。

どうして彼がここに居るのか
何でこの場所を分かったのかは分からない。
けれど、彼は「目ェ閉じてろ」と言い
私が目を閉じるとすぐに
抱き抱えられる感覚があった。



「本当なら今ここでテメェをしょっぴく所だが
優先すべき事があるおかげで
命拾いしたなァ、…高杉晋助。」


「…連れてくのか。…どうせ
そいつの過去も事情も知らねェだろう」


「知らねェよ。だとしてもコイツは
ここに居る事を望んでねェ

連れ出す理由はそれだけで充分でさァ」



声しか聞こえない。強く、彼が私を抱く感覚と
小さな「捕まってろィ」の声と
走る音、風、騒ぐ吉原の声。
…気になってしまったのだろう

彼にしがみつきながら
ゆっくり目を開けてしまった。

そこは、屋根の上だった。
恐る恐る顔を上げると真っ直ぐ前を見て
一直線に出口の方へ走る沖田くんの横顔。

やはり沖田くんだった。



「…!…っおま、何で目ェ開けて…っ」


「っ」



しまった。


目が合って、彼の動きが止まる。
治まったはずの動悸が現れて
彼の触れている所から全身にかけて
体温が上がり、息苦しくなるのを感じた。

これは、お香の効果なのだろうか。


触れられてるのが、距離の近さが
状況が、酷く恥ずかしく感じた。



「…あー…とにかく、暫く目ェ閉じて
あわよくば寝てて下せェ。
んで、次に起きたら万事屋でさァ」



彼は改めて強く私を抱くとまた走り出した。

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