【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、47人目 ページ47

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「昔話に花を咲かせる、って言うんだっけ?
俺は先に船に戻ってるから
この後は、二人で楽しんできなヨ」



暫く、街を歩いた後にそんな
謎の気遣いを起こした神威は
私と彼だけを残して吉原を出ていった。



「…へぇ、いい場所、選ぶじゃねェか
初めてお前と会ったのはこの座敷だったなァ…」



彼と私が出会ったのは彼は今よりも若く
私がまだ子供だった時の事。
このお座敷で彼は身の上話をした。
戦争の話だっただろうか。
先生、と言う人の話を聞いた記憶がある。

あの時とは、彼の雰囲気も変わってしまった。



「貴方、昔はそんな雰囲気ではなかったのにね
それに煙管なんて持っていなかったし。

貴方も変わったみたい。

…ねぇ、高杉様。…今でもお酒は苦手?

だとしても、もう昔のように
私のジュースをあげる事は出来ないよ?
だって今は持ってないもの」


「…」


「…ああ、煙管をもっているのだから
液体より気体が好きになったのかしら?」


「ククッ…口も達者になったじゃねェか。
まぁ、半分は違えねぇ。…が。

…今日は煙で酔いてェ気分でな。」


「…煙で?」



彼を見ると、今まで吸っていた
煙管の灰を灰皿に捨てて
袖口から出したケースを出した。

それは葉を入れているものらしく
出した新しい葉は、桃色だった。
煙管の中で葉に火を点して
ユラユラと揺れる煙もやはり桃色。



「…それ、葉じゃないでしょう。
先程、話していた愛染香…だっけ?」


「愛染香…要は惚れ薬って奴らしい。

…さあ、酔い潰れるほど嗅いで見ろ。

自分で酔ってみるのも悪くねぇと思ったが
俺は人が酔い潰れるのを見る方が好きらしい」


「まあ、悪い趣味。」



煙管を艶めかしく摘む手が
窓の近くに座る私の方へ伸ばされ
煙は風向きを従い私越しに窓の外に消えていく

お香、と言うだけあってとても甘い匂いがした

酔った、という感覚なのだろうか。

まず、動悸から始まり息が苦しくなった。

けれどその心臓の高鳴りも息苦しさも
嫌なものではなかった。



「早速、効果が出たらしいな。…俺の顔を見ろ。
…最初に見た相手に惚れるらしいからな」



その言葉にずっとお香に
向けられていた視線を俯かせる。

彼の手が、灰を灰皿に捨てるのが見える。


これが本当に惚れ薬なのなら

今、彼の顔を見てしまったら
私は彼を好きになってしまうのだろうか。

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