【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、46人目 ページ46

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ー貴女side



華やかな着物に、髪飾り。
化粧をしてから最後に唇に紅を塗る。

着飾って、演じて、媚を売る。
それは今までだってやってきた。
今更苦なんて感じたりはしなかった。

でも、ここに"戻りたくはなかった。"


牢屋の中になんて、狭い地下になんて
あの人の居た世界になんて

もう戻りたくはなかったのに。



「御前様。私を買っていただけませんか?」



それでも出来てしまう程に
私は器用に出来ているらしい。

商品に成り下がりたくなんて無い。

どうしてこうなってしまうのか。
ねぇ、それはお母さんのせい。
どうして無責任にも私を身篭ってしまったの。

どうして私を産んでしまったの。
どうして、



─────私を置いて死んでしまったの。



「御前様。どうか私を
買っていただけないでしょうか」



牢屋の中から手を伸ばしても
誰も掴んではくれない。
誰も助けてはくれない。

誰も、愛してはくれないのだ。


身しか見てもらえない世界。



分かっているからこそ、虚しい。



「へぇ、まるで別人みたいだネ」


「…」



神威とその後ろの高杉様は
高みの見物でもするように私を見る。

ああ、その目。その目は嫌い。

伸ばした手を奥に引っ込める。



「…買っていただけないでしょうか?」


「フフ、君の歪みない所は嫌いじゃないヨ
崩してみたくもなるけど…どうする?シンスケ」



話を振られた当の本人は
煙管の煙を口から吐き出すと
私にゆっくりと近付いて服の裾に
しまっていたもう片方の手を
伸ばすと、手を握るように重ねて

強く、私の手を引くと顔を寄せた。

そして、妖艶な笑みを浮かべて口を動かす。



「ああ、いいぜ…"今度は"アンタを買おうか
ククッ…あん時の餓鬼を買う日が来るとはなァ」


「…」



彼の手を振り払った。

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