【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、45人目 ページ45

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ー沖田side



真選組の屯所は、いつもと変わらない。
なのにそこに、ただ一人彼女が居ないだけで

この場所はこんなにもつまらなかったか。
まるで白黒になったような世界。
おまけにこの雨じゃ、夏とはいえ
アイスを食べるにはちと寒い。

せっかくの休日だってのに、つまらねぇ。



「あーあーつまんねぇー…」



呟いてみても答えてくれる奴は居ない。
懐から髪飾りを出してみれば
木製のそれは俺の手の中で綺麗に輝いた。
彼女の髪飾りだから、なんて
そんな事は無いのだけれど。



「…ただのニスのテカりだっつーの」



よし、万事屋行こう。


京都に行くくらいのノリで思い立ち
吉日か凶日か俺は立ち上がった。
やっぱり会いたくなってしまった。

Aに会えれば最高だけれど
会えなくても時間潰しくらいにはなるだろう。


俺はしまい込んだ雨傘を出して部屋を出た。








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どうやら、俺が思い立った今日は凶日らしい。
万事屋に行くと面々が玄関先で立ち竦んでいた
からかうように「鍵でも失くしたんですかィ?」
と聞くと気付いた三人は俺に振り向いた。

存在も気付かれてなかった。

チャイナとメガネは同時に旦那を見た。
旦那は二人の視線を気付いたのか否か
少し迷ってから重く口を開いた。


もう一度言う。…今日は凶日だった。



「…さっき、Aが連れ去られた」


「…は?」



旦那にしては珍しく切羽詰まったように
それでも落ち着いた声で
俺の胸ぐらを掴みながら言った。
「テメェら警察だろ、何とかしろよ
人が攫われたっつってんだろ…」と。
自分でも自分が可笑しいと思っているらしい。



「銀ちゃん!落ち着くアル!」


「そ、そうですよ、銀さん」


「…わーってるよ」



二人に宥められてやっと胸ぐらの手が離される
途端に恥ずかしくなったのか
旦那は目を逸らしながら頭の後ろを掻いた。
多分、と言うか確実に

旦那はAが好きなのだろう。

本気で惚れているに違いない。



「とにかく、人が攫われてんだ
市民の為なら真選組も動くだろ」


「…あー、真選組はどうでしょうねェ
今日、俺ァ非番なんで通報なら屯所へどーぞ」


「なっ…オマエそれでも警察アルか!」



今にも殴り掛かりそうな剣幕のチャイナを
睨みながらポケットの中の髪飾りを握る。

確信はない。けど、手掛かりはある。



「…真選組は、っつったろィ。」

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