【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、36人目 ページ36

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彼は、鬼の副長と言われているけれど
きっと根は優しくてそしてただ誘っても
無理な物は無理だという性格なのだろう。



「…。…しらねぇ。知りたきゃ総悟に聞けよ」



だから、沖田くんをネタにしても
断られてしまった。
ダメか。なら仕方ない。やり方を変えよう。

この時には彼女の事を知りたいと言うより
自分に靡かせたい気持ちが強かった。



「ごめんなさい。素直に言います。
沖田くんの事は嘘です。…聞いたのは

私が貴方の事を知りたいからです。」


「…は?」


「実はここで働く前に貴方は
覚えてないかも知れませんが
私、一度だけ貴方に助けられてるんです

その時に鬼の副長と恐れられていた
貴方が本当は優しい事を知って、それから
私はずっと貴方の傍に行きたいと思って
この仕事を銀時から聞いて受けたんです。

沖田くんを理由に使ったのはごめんなさい。
本当は気持ちなんて言いたくはなかったんです

もちろん、返事もいりません。
ただ、私は貴方をお慕いしています。
だから貴方が許してくれるのなら

私は貴方の事を知りたい。」



これも嘘。よくこんな嘘を並べられた物だ。
真っ直ぐ彼の瞳を見つめると
その瞳が一瞬、揺れたのを見逃さなかった。

彼は何も言わずに目を逸らした。
これでもダメ。…これは、最終手段だった。

幸か不幸か私は写真の彼女と
同じくらいの髪の長さ。
写真の彼女と同じようにずっと持っていた
大切な髪留めで一つに留める。

人真似なんてしたことは無いから
きっと彼は納得してくれないだろうけれど
写真から、彼女の声や喋り方
彼の呼び方を想像して口に出して、視る。



「…土方さん」


「…っ」


「…十四郎さん」


「っ」



こっちだ。私は彼に近付くと彼を抱き締める。
そして耳元でもう一度名前を囁く。
私は、ミツバさん。彼女を想像する。
私の想像があっているとすれば
きっと彼女はとても素敵な女性だったんだろう



「十四郎さん…」


「…めろ、やめろ!気安く
アイツの真似なんかするな…!」



私を突き放そうとする彼の力は
酷く弱々しかった。
まるで、突き放したくないような。

違う、"もう"突き放したくないような。



「ふふ、そんなに似てますか?
…もしかして、彼女と恋人でした?」


「違う、いい加減にしろ…」


「…彼女に、告白された?
でも、貴方の弱々しい反応を見ると

好きだったのに突き放してしまった?」


「っ!」



ふふ、ビンゴ。

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