【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、16人目 ページ16

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紫の和傘に二人で入ってしばらく歩くと
街から離れて建物が少なくなってきた。
夜中と言う事もあり人数も少なく
辿り着いた船は思いの外堂々と
少しばかり広い空き地に止められていた。

神威は、差していた傘を閉じると
くるりとチャイナ服の上から
羽織っていた外套を控えめに翻しながら
私の前に移動し、手を差し出しながら言った。



「ようこそ、俺の船へ」



船を見た時から高杉様の船では
ない事は気づいていたけれど
ここは、あえて惚けてみる振りをしてみようか



「…貴方の船?…高杉様に会わせてくれる
という話ではなかったですか?」


「勿論、俺は約束を破らないよ」



そんな事をしてみても彼の表情に変化はない。
変わらず笑顔を作ったままだ。

彼だけは、崩せない。

…差し出されたままの彼の手は
私が手を取るまでも無く

彼が私の手を握り強引に
船まで引っ張りながら言った。



「けどその前に、…デザートが先だ」







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「君ってさ、誰が好きなの?」


「…え?」



船内にある部屋で私に触れる神威が言った。
戯れの最中に『俺の事、好き?』
と聞かれた事はあっても『誰が好き?』
なんて聞かれたのは初めてだった。

それでも、答える言葉は変わらない。
大丈夫。やれる。…私は彼を見上げると
わざと照れたように微笑み自らの乾いた口元を
手で軽く隠しながら慣れた台詞を言う。



「…そ、んなの、…私は、神威が好きですよ…?」



私の言葉に神威は男にしては大きい
その瞳をパチパチと瞬きを繰り返すと
突然、吹き出し、笑い出した。



「ぶっ…ふふ、あははっ、…アンタ面白いね
"そういう演技"もできるんだ?」



見破られてるとは思っていた。
けれど、実際に言い当てられると
一瞬、言葉が詰まる。

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