ある人はからかい上手、一見Bをからかっているようだが、実はCをからかっているのだから ページ9
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(私が犯人じゃないって分かってるくせにあんなふざけた事を言って....沖田くんって根っからのからかい好きだよなぁ。銀さんも然りだけど。)
心の中でまだ不満げにぼやきながら脱衣所から出ると、
沖田くんとたまたま目が合った。
「遅かったなー、Aって結構長風呂なんだ。」
「まあ、ね。」
苦笑いをすると、相変わらず長椅子にぐうたらな姿で寝そべる銀さんに目がいった。
(はー....こんなだらしない大人を好きになるとは...)
けれど思い起こせば、彼には助けられっぱなしで
好き以上に感謝でいっぱいだった。
明るい窓から差し込む光に、思わず目を細める。
新八くんの用意した茶碗大盛りの白米がゆらゆらと湯気を立たせている。
お笑い番組を見ながら酢昆布を咥える神楽ちゃん、
背中がかゆくて仕方ないけれどどうにも手が回らずイライラし始める銀さん、
定春に何故か芸を教え込む沖田くん、
手伝って下さいよー!と呼びかける割烹着姿の新八くん、
順々に彼らを見て、取り戻した日常に幸せを噛み締めた。
この幸せ全て、元を辿れば銀さんのおかげなのだ。
これからもここで仲良く暮らせたら、
そんな事を考えていると新八くんが私を呼んだ。
椅子に腰を下ろし、私はようやく温かいご飯を喉に流し込んだ。
あったかくて居心地のよいこの時間が、いつまでも続いたらななんて思った。
──────────────......
「旦那!!動きやしたぜィ!!」
沖田くんのその言葉が発せられたのは、月が昇る午後11時、みんなが寝る準備をし始めた頃だった。
「えっ!今?!ちょ俺まだ歯ぁ磨いてんだけど!!」
「僕今からお風呂入ろうと思ってたのに!!」
「ちょっとちょっと!!私もう寝巻きに着替えちゃったアルヨ!!」
「んじゃそのままでいんじゃねーの、」
適当にあしらいながら、沖田くんは慌ただしそうに上着を着た。
私はよそ者のように右往左往する彼らを呆然と見ていると、
「何してんだ!!ほら、お前も行くんだよ!!」
沖田くんに強引に腕を引っ張られ、そのままパトカーの後部座席に押しつめられた。
(あれー前にもこんなことあったような...)
直ぐに景色が流れ始め、あっという間に万事屋が見えなくなった。
(隣....銀さんだ....)
意識しないようにすればするほど緊張して手に汗が滲む。
しかし今の彼の瞳には、竜胆の姿しかないように見えた。
棚からぼたもちが落ちてきたのは、偶然なわけがない→←バカなことに全力になれるのは選ばれし者のみ
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時