罪は己が決めても大した意味を持たない ページ48
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困ったような、安堵したような、柔らかい笑みを浮かべて涙を流す竜胆を、私は暫くの間見つめていた。
今まで散々敵意剥き出しで襲ってきた彼女は、銀さんが何かの拍子で過去を思い出した事により、落ち着きを取り戻した。
久々に負った大怪我から、鞭を打つかの様な激痛が今も手のひらを突く。
人生一生分、いや、三生分程の大怪我をこの短期間で幾度も負ったけど、痛みに慣れることは一向になかった。
対して、激しい交戦を終えた三人はと言うと、互いに身を寄せて負傷した体を労り合うこともせず、
ただ呆然とそれぞれの位置で、朗らかな二人の様子を、私と同様に見つめていた。
(痛い......けど、もしかして、丸く収まるのかな....竜胆もあの様子なら、なんとか....)
微かに見えた希望の光がそのまま広がって、私たちの
すると、直後に竜胆の言葉が、なだらかに流れ始めていた空気を再び重苦しいものに変えた。
「でも、こんな中途半端は、許されない。私のせいで貴方達は命すら危うい状況に陥ったんだから。だから、責任を取るわ。」
そう言いながらよろりと立ち上がると、彼女は折れた刀の柄を握り、その鋭利な部分を首に差し向けた。
「オイオイオイ!!ちょっと待て!!!お前の体はアイツの体と繋がってるんだぞ!!!
それにお前、その行為は責任取るどころか、責任放棄になるだろ!古ぃーんだよ、考えが!!」
銀さんが慌てて彼女の手首を掴み、窘めながらその暴挙を阻止した。
と同時に、私の突発的な高揚も徐々に弱まった。
「でももう私....銀ちゃんに合わせる顔が無いよ、
ごめんなさい......銀時、私は、許されない人間なの。もう貴方が思っている程純粋じゃないの...醜くて酷い人間だから、」
そこまで言って、自己嫌悪するような苦い顔をして俯いた竜胆。
それから何度か銀さんが言い聞かせても、頑なにその主張を曲げなかった。
埒が明かないと思った私は、いささか腹を立てながら彼女の目の前まで歩み寄り、面と向かった。
微量だと思い込みながらも、十分な勇気を振り絞って情けない面持ちの『私』に叱責した。
「そうやって自分の道徳を押し通して、無関係な私を殺す気ですか?!そういうのを独善的と言うんですよ!!
責任を取るならば....私の為に生きて下さい!!」
あっけらかんとする『私』に向かって、大胆な言葉を、大胆にも胸ぐらを掴んで豪語した。
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本物の英雄はそう簡単に英雄をやめたりしない→←結局私は最初から、帰るべき場所を探していた
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時